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北朝鮮で、4月の太陽節(金日成主席の生誕記念日)に向けて、国境警備が強化されている中、国境警備隊では「一人の脱北者も出さない」と誓う大会が開かれた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、国境警備隊の各旅団の本部では、先月6日に決議大会が開かれた。

大会では、昨年8月の水害の被害を受けた部隊に対して、金正恩党委員長からの贈り物として、楽器、運動器具、夜間照明に使うソーラーパネルが伝達された。

演説者は「今年は、金日成主席、金正日総書記の生誕記念日が整周年(5年単位で区切った年)となる意味深い1年だ。喜びが重なる1年をより輝かせるには、国境警備隊の責任と役割がいつにもまして重要になる」と強調。「4月末までの間に、脱北者を一人も出さないように、国境警備を強化する」と宣言した。

大会の終わりには「祖国の国境を鉄甕城(金城鉄壁)のように守ろう」との誓いの文章が読み上げられ、小隊長以上の指揮官全員が署名捺印させられた。自分の担当区域から脱北者を出した指揮官は、労働党から除名され、生活除隊(不名誉除隊)の処分を受けることになる。政治的生命が絶たれるも同然の厳しい処分だ。

国境警備の強化方針を受け、見せしめで逮捕される人が出ている。

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両江道(リャンガンド)の情報筋によると、恵山(ヘサン)市蓮峯二洞(リョンボンイドン)にある国境警備隊25旅団の本部に先月6日、中朝国境に面した渭淵(ウィヨン)と樺田(ファジョン)の間で、密輸容疑で逮捕された女性2人が連行されてきた。

現場から旅団本部までは12キロもあるが、2人は両手を縛られた状態で歩かされたという。ひどい拷問を受けたのだろうか、顔には大きなあざができていた。

情報筋は、住民に対して「密輸や脱北をするな」という警告を住民に発するために、わざと市中引き回しにしたのだと説明した。

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しかし、このようなやり方では密輸や脱北を完全に防げるかは非常に疑問だと情報筋は述べている。

まず、国境警備を強化するという方針は、度々出されているが、いずれの場合もしばらくすれば、従来通り密輸や脱北が横行するようになる。銃殺を含めた重罰で対応しても、完全に押さえ込むことは極めて困難だ。

国境に面したこの地域は、密輸で経済が成り立っていると言っても過言ではない。取り締まりの強化は、物資不足を招き、物価高騰へと繋がる。そうなると、人々の不満は金正恩氏へと向かうのだ。

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また、国境警備隊員にとっても、大きな悩みとなる。密輸や脱北の幇助で得ていた現金収入が絶たれてしまうからだ。だからと言って、ワイロを受け取って見逃したことがバレると、最悪の場合、銃殺されかねない。

密輸業者も脱北者も国境警備隊員も、ほとぼりが冷めるまでおとなしくし、警備強化期間が終わる5月を首を長くして待つしかない。