また、報告を行った金己男(キム・ギナム)党中央委員会副委員長も「不正腐敗行為は必ず克服すべき深刻な欠陥」とし「党と首領の権威を毀損したり、歯向かったりする小さな要素も無慈悲に叩き潰さなければならない」と批判している。
繰り返される警告にも、情報漏洩は止まりそうにない。
今年8月、保衛省(秘密警察)が「内部資料を韓国や中国に売り渡してカネを稼いでいる者がいる」と警告を発した。ところが、「内部資料を売り渡した見返りに5000元(約8万4000円)を受け取っている」と具体的な額を公開してしまったため、住民の間からは「そんなに儲かるんだったらぜひとも売り渡して一儲けしたい」との反応が続出するという、笑うに笑えない状況となった。
(参考記事:情報売って一儲け!…北朝鮮当局の警告に住民大興奮)法や規則に従って真面目に生きようとすれば、餓死しかねない北朝鮮。正直者が馬鹿を見る今の体制が変わらない限りは、情報漏洩の根絶は夢のまた夢だろう。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。