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北朝鮮当局が、外貨稼ぎのために中国に派遣した自国労働者は1万9000人(北韓人権情報センター調べ)とも、9万4000人(韓国開発研究院調べ)とも言われている。また、遼寧社会科学院辺境研究所の吕超所長によると、遼寧省丹東市だけでも、1万5000人に達するとのことだ。

彼らは、非常に厳しい監視のもとに置かれているため、低賃金の長時間労働でも離職率が低く、人手不足に悩む中国東北地方の経営者にとっては「便利な存在」だった。ところが、最近、賃金が急上昇しているという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

丹東市の対北朝鮮情報筋によると、食品加工会社の賃金は月平均で1800元(約2万9800円)、技術を要する縫製工場の賃金は月平均で2300元から2500元(約3万8000円〜4万1300円)だ。2〜3年前の300元から500元(約5000円〜8300円)から比べると非常に上昇していることがわかる。

上記の賃金はあくまでも1日8時間働いた場合のもので、実際にはさらに多くの残業代が支払われている。また、中国企業側は労働者の住居費や食費、北朝鮮からやって来た管理者にも給料を払わなければならない。

中国の労働者を雇うのと比べて、節約できるコストは2割程度。コスト面で北朝鮮労働者を雇うメリットはなくなりつつある。一方で、欠勤や離職が非常に少ない、安定した労働力としての北朝鮮労働者は、依然として魅力的なようだ。

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一方、大きなリスクも存在する。その一つが脱北だ。労働者が一人でも脱北すれば、北朝鮮の保衛指導員(秘密警察官)による厳しい検閲(監査)が行われ、労働者全体に動揺が広がり、生産に大きな支障をきたす。

さらに、長時間労働、外出も許可しないほどの厳しい管理、賃金のピンハネなどで、国際的な人権問題となっているため、中国政府が今後北朝鮮労働者の雇用を禁じる決定を下す可能性もなきにしもあらずだ。

賃金の上昇は、北朝鮮が中国に派遣した労働者たちだけでなく、中国全体で起きている現象だ。香港のサウスチャイナ・モーニング・ポストによると、北京と上海の昨年第3四半期のホワイトカラーの平均月給は、1万元(約16万5000円)に迫る勢いだ。

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一方で、丹東のブルーカラーの平均月給は非常に低く、2843元(約4万7000円)に過ぎない。北朝鮮労働者は、平均を下回る賃金で働くことが前提になっているのだが、このようなシステムがいつまで続くかは不透明だ。