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ロシアや中国の華北、東北、内陸部の都市部には、地域熱供給システムが導入されている。このシステム、火力発電所で発電の際に生じる排熱で温められた水が、地域全体に張り巡らされたパイプで各戸に供給される。

家に設置されたラジエーターにお湯を通して部屋を暖めるが、スチーム暖房なので、温度も湿度も快適に保たれる。

このシステムは、旧ソ連では1930年代から、中国では1950年代から導入が始まった。詳しい経緯は不明が、平壌市内のマンションにも1950年代から導入された。しかし、この快適なシステムがアダとなり「平壌の人々は寒さに震えている」と平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝える。

情報筋によると、1950年代後半に進められた千里馬(チョンリマ)運動の頃に建てられたマンションでは、温水供給用の鉄製パイプが完全に腐食し、お湯が循環しないというのだ。

冷凍庫にいるような寒さに耐えかねた人々は、石炭やソーラーパネルで暖房を賄っている親戚の家に避難する。

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比較的新しいマンションでも、この事情はそう変わらない。

この暖房システムは、平川(ピョンチョン)区域の火力発電所で作った温水を、パイプに流して地域全体を温める。しかし、そもそも火力発電所がまともに稼働しておらず、暖房が効かない。

当局は一時期、輸出用だった石炭を国内向けに転換し、発電所の稼働もかなり正常化していた。しかし、昨年になって中国への石炭輸出を増やしたことで、また発電所が止まってしまった。

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一部の幹部は、マンションの部屋にかまどを設置し、石炭暖房ができるようにリフォームしたが、多くの人は費用の問題や一酸化炭素中毒になることを恐れて、そうしたリフォームはやらない。

そして、この状況をチャンスととらえてビジネスに乗り出す人々が登場した。越冬用の家を斡旋するブローカーだ。

情報筋によると、大同橋(テドンギョ)の周辺には、数十人のブローカーがいて、訪ねてきた人に、春が到来する3〜4月まで暮らす暖房の効いた家を紹介し、手数料を受け取るというものだ。平壌に親戚がいない人は、こうやって長い冬を乗り切るのだという。