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北朝鮮では、太陽節(故金日成主席の生誕記念日)、光明星節(故金正日総書記の生誕記念日)に、原則として大多数の国民に対して特別配給が行われる。1月8日の金正恩党委員長の生誕記念日に際しては、都市の住民には特別配給が行われたが、農村は対象から除外され反発の声が上がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、最大都市である恵山(へサン)市の住民に対しては、ハタハタ5キロ、酒、サラダ油、石鹸、歯ブラシ、UVローションなどが、市場価格の20分の1で販売された。

剣山里(コムサンリ)、雲寵里(ウンチョンリ)、盧中里(ロジュンリ)、さらに恵山市に面した普天(ポチョン)郡の樺田里(ファジョンリ)では、託児所や小学校に通う子どもたちにお菓子セットとジャージが配られた。しかし、大人に対しては、ハタハタ2キロ、酒、サラダ油1本だけだった。

両江道の西隣、慈江道(チャガンド)の情報筋によると、江界(カンゲ)市、満浦(マンポ)市、煕川(ヒチョン)市の住民に対しては、ハタハタ5キロ、サバの缶詰1個、タオルが特別配給され、子どもたちには、国産の「ネゴヒャン(わが故郷)」ブランドのジャージとお菓子セットが配られた。

ところが、それ以外の農村地域には何も配給されなかったのだ。農村の人々の間からは「差別待遇」「われわれは人間扱いされていない」「社会主義は平等だと教わったが、都市住民だけを人間扱いするのが中央の考える社会主義か」だと怒りの声が上がり、殺伐とした雰囲気になっているという。

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北朝鮮の人口の65%が農業に従事しているか、農村に住んでいる状況なのに、農村への差別待遇は不満が高まるだけ、特別配給を全くしない方がまだマシだったと情報筋は指摘する。

特別配給は、国家指導者が国民に良いイメージを植え付け、忠誠心を引き出すためのプロパガンダ戦略の一種だ。北朝鮮の経済が比較的順調だった1960〜70年代には、普段の配給に加え、それなりの量の特別配給が配られ、人々は喜んで受け取っていた。

しかし、90年代末の大飢饉「苦難の行軍」を境にして、配給システムそのものが崩壊し、配給は記念日のみに受け取れるものとなった。ところが、昨年の太陽節に子どもたちに配給したお菓子セットが「まずい」と大不評で、ただでさえ低い金正恩氏の評判がさらに下がる事態を招いた。

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そもそも、忠誠の資金などと称して、一般住民から巻き上げたカネで、配給を配っていることは誰でも知っていることだ。これでありがたいと思う人は、よほどのお人好しだろう。