しかしこの言葉が歪曲されて伝わり、子どもの親が「元帥様が直々に『上手だ』と褒めてくださったのに、それを部長ごときがひっくり返すのか」と激怒。親は、部長の言葉を朝鮮労働党の中枢機関である組織指導部や秘密警察である国家安全保衛部(現国家保衛省)に報告した。さらに、組織指導部は労働党中央に「1号報告」(金正恩氏に関連する事案の報告)として知らせた。
この過程で、実績をあげられていなかった秘密警察が、事実を捻じ曲げて上部に報告した可能性があると情報筋は指摘する。結果的に、部長の言葉は金正恩氏の言葉を否定したという形になり、最高尊厳の権威を毀損したという罪に問われ、逮捕されることとなる。
情報筋は言及していないが、泣く子も黙る拷問部隊である国家安全保衛部が摘発に絡んでいただけに、激しい拷問が加えられたことは想像に難くない。しかし、彼に対する残酷な仕打ちはこれだけで終わらなかった。