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北朝鮮当局に対して、たとえば核査察ではなくいっそのことディズニー社も巻き込んで文化著作権査察のようなものを進めたらどうだろうか。この過程で、金正恩体制の人権弾圧ともいえる文化統制と、海外文化に対する欺まん的な施策をあぶり出せる。そして、一般庶民が公に海外の娯楽文化を楽しめる環境をつくるのだ。

また突拍子もない提案だが、今日本でも話題の「この世界の片隅に」を北朝鮮で上映するものいいかもしれない。物資が不足し統制が強まる第二次世界大戦中の日本で、けなげにささやかな生活を送るヒロインや周囲の庶民の姿に、北朝鮮の多くの人々が自分たちの境遇と重ね合わせて涙するに違いない。政治ではなくカルチャーによる「宥和政策」なら北朝鮮庶民も周辺国も大歓迎だろう。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記