情報筋によると、この数字は道の人民委員会(道庁)行政局幹部から伝えられた。各道の人民委員会は秘密裏に海難事故の発生件数と死者数、行方不明者数を集計しているようだ。
漁師たちは、大工が作った小さな船に乗って漁に出るが、沈没した船やエンジンが故障して放置された船が数万隻に及ぶという。また、小型漁船には6〜7人の船員以外に、他地方から出稼ぎに来た労働者数十人が乗っていることが一般的であることを考えると、死亡・行方不明者の数は、これよりはるかに多いだろうと情報筋は見る。
このような状況にもかかわらず、地方の労働党や行政官僚は、人命救助には全く関心を持とうとせず、捜索活動は一切行わない。身内が事故に遭っても、どこにも訴え出るところはない。訴えれば、逆に「脱北したのではないか」と疑われ、保安員(秘密警察)から責められたり、監視されたりする有様だという。