犯人グループは96~98%もの高純度の見本を米国に送った。商談は進み、覚せい剤100キロがフィリピンから中継地のタイに運ばれた。チェコ人の男が武装バイカーを動員して運送を護衛し、現地ではイギリス人の男たちが覚せい剤を管理。代金の決済のため、台湾人とフィリピン人がタイに入ったところで、一味は一網打尽にされたのだ。
日本では1990年代に猛威をふるいながらも、今では昔話になった観のある北朝鮮製覚せい剤の密輸問題だが、国際的には決して終わった話ではないことを示すエピソードと言える。今年10月にはフィリピン下院の聴聞会で、国内の刑務所で流通する覚せい剤の相当部分が北朝鮮製であるとの証言も飛び出した。
しかし何といっても、最もひどいのは北朝鮮国内の状況である。12月1日、韓国・ソウルで開催された「北朝鮮麻薬類問題セミナー」で北朝鮮麻薬類監視機構のイ・グァンヒョン研究員は、「少なくとも30%以上の北朝鮮住民がメタンフェタミン(覚せい剤)やアヘンなどの薬物を使用していると見ていいだろう」と発言。6歳の幼稚園児までが薬物を使用する様子を見たという証言もあると明らかにした。
このような衝撃的な証言は、枚挙にいとまがない。