その後、抗議を行った女性は精神錯乱と診断され、地元の病院に入院しているという。公的な場所で労働党の施策をあからさまに批判する行為は、本来ならば罪に問われるところだ。当局は、前例どおりに女性を処分できなかったことで、半ば自らの非を認めたも同然と言えるだろう。
この事件の際、女性が金正恩党委員長を名指しで批判したという情報はない。さすがにそれをやってしまうと、殺されずには済まなかったはずだ。しかし言葉には出ずとも、北朝鮮当局の権威に対する批判は、結局は正恩氏に向かう。そして、そのような無言の批判は、冒頭の放火テロのような「無言の反抗」に化ける可能性をはらむ。