日本の総人口に占める外国人の人口は、今年10月現在で2%(231万人)だ。一方、韓国の総人口5154万人のうち、外国人は200万人を超え、総人口に占める割合は3.9%に達している。韓国の法務省は2021年には300万人を超え、割合は5.82%に達すると見ている。

また、同じ民族でも全く異なる環境のもとで暮らしてきた、「内なる外国人」と言える脱北者は、今年11月で3万人を超えた。

このように韓国社会の多様化が進むにつれ、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムなどが増えつつあると指摘されている。しかし、その対応は遅れており、実態も明らかになっていない。

また、一部では、差別を煽ろうとする勢力すら存在する。それに対応しようとする動きも進みつつある。

聯合ニュースによると、NGOの京畿道外国人人権支援センターは、7つの国出身の14人を対象に191件の人種差別の事例を集めた「京畿道人種差別実態モニタリング結果」を、先月30日に安山グローバル文化センターで開かれたシンポジウム「人種差別の実態と差別解消のための政策法案」で発表した。

外国系住民が被害に遭った人種差別は侮辱、不公平な待遇、暴行など様々だ。ここではその一部を紹介する。

ケース1:フィリピン出身で韓国人男性と結婚した女性が、子どもを幼稚園に通わせようとしたが、「ハーフの子どもがいれば、韓国人の親御さんに嫌がられて、別の幼稚園に逃げられてしまう」との理由で、入園を断られた。

ケース2:ペルー出身のMさんは、生ゴミを捨てた犯人にされて大家から叱責された。「自分はやっていない」と言ったが、「外国人はあなただけ。他にそんなことをする人はいない」と言われた。

ケース3:韓国人男性と結婚した外国人女性が、住民センター(末端の行政組織)で住民登録謄本(住民票の謄本)を取ろうとしたが、職員に「外国人はダメ。夫に来てもらえ」と言われた。「いつも私一人で申し込んで問題なかったのに、なぜダメなのか」と抗議したところ、別の職員が出てきてようやく出してもらえた。

この団体のイ・ギョンスクチーム長は、実際の差別事例を紹介しつつ「外国籍住民に対する差別を是正、救済する法制度が整っておらず、人種差別に遭っても不利益を甘受するか、その場から立ち去るなどの消極的な対応しかできない」と指摘した。

また、チェ・ジョンギュ弁護士は「現行法では人種差別を処罰できる規定がない」「人種差別禁止条項を含めた法律を制定し、現行法の差別行為の規定に『刑事罰』条項を追加すべきだ」と述べた。

外国人移住労働運動協議会のウ・サムヨル人種差別対応チーム長は「現行の外国人労働者雇用許可制では、勤め先の変更が制限されるなど、差別的要素がある」「われわれが日本に『ヘイトスピーチ禁止法』の制定を求めるのと同様に、韓国も一日も早く人種差別を規制する法律を作るべき」だと述べた。

韓国では、過去に3回差別禁止法の制定に向けた動きがあった。最近では、2013年に国会議員51人が、性別、障がい、年齢、言語、出身国、人種、肌の色、出身地域などで、雇用や教育において不平等な待遇を行うことを禁じる「差別禁止法案」を国会に上程した。同年7月の世論調査では、59.8%が差別禁止法は必要と答え、世論の支持もあった。

ところがこれに対して、保守プロテスタントが「法案絶対阻止」を掲げ、攻勢に乗り出した。法案に「性的指向による差別禁止」が含まれていたからだ。国会には10万件を超える反対意見が寄せられ、結局廃案となってしまった。

韓国では、差別禁止法の制定を求める動きが改めて活発になりつつあるが、それに合わせて、保守プロテスタントは、ホモフォビア(同性愛差別)を丸出しにして、反対運動を進めている。

ネットニュースサイト「アジアトゥデイ」によると、韓国キリスト教連合は「米国の同性婚合法化の過程と、韓国教会に示唆するところ」と題した討論会を先月2日にソウルで開催した。

出席したチョン・ソヨン弁護士は「米国は2015年に同性婚を合法化してから、同性愛を公に批判できなくなった」「西洋では、宗教、信念、良心の表現の自由に対する深刻な侵害が起きている。韓国にもまもなくそのような時代が到来し、教会の活動に重大な支障が生じる」などと、LGBT差別ができなくなることを惜しんでいるかのような発言を繰り返した。

また、仁川市では、同様の条項が含まれている「青少年労働人権保護及び増進条例案」の制定に反対する集会が2日に開催されたとキリスト教系ニュースサイトの「ニュースパワー」が報じた。

集会に出席したキム・スンギュ長老(盧武鉉政権の元法務相、元国家情報院院長)は、「同性愛でアフリカでは3000万人が死んで、2000万人がエイズ患者だ。それでアフリカの38の国の大統領が同性愛に反対している」「韓国では同性愛が拡散している。教会が阻止すべきだ」などと述べた。一方で、アフリカ諸国で発生しているLGBTに対する暴力、人権侵害については言及しなかった。

また、キリスト教団体が提出した20の要求事項を受け入れたなどとして、米国のトランプ次期大統領を賞賛した。

韓国の朴槿恵大統領に対する弾劾訴追案が可決され、政権が交代する可能性が高まるなか、朴氏の主な支持層で、「リベラル政権の誕生」「多様化した韓国社会」を恐れている保守プロテスタントの間では危機感が高まりつつある。今後、LGBTや外国系住民、イスラム教徒などに対する攻撃を過激化させるおそれがあるとの見方がある。


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