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こうした環境に業を煮やした医師たちは、国営病院を見限って自分で診療所を開く。厳密にいえば「ヤミ医療」になるわけだが、一部の高級幹部を除いて多くの当局者もヤミ医者に頼らざるをえない。

おどろくべきことに「ヤミの中絶手術」まで存在する。

北朝鮮の「草の根資本主義」を支えるのは女性たちだ。彼女たちは生きるために働かなければならないので妊娠出産を避ける傾向にある。そこで、もし妊娠してしまったら、ヤミの産婦人科医を自宅に招いて堕胎手術を行うというのだ。医大生たちは夏休みに入ると、学費稼ぎのためバイト感覚で「ヤミの堕胎手術」に手を染めるという。

(参考記事:北朝鮮の医大生、学費と生活費を稼ぐため「中絶手術」のバイト

そして、北朝鮮の劣悪な医療環境を最も象徴するエピソードが「麻酔なしの手術」だ。