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昨年の7月に北朝鮮が突然ミサイルを発射した。政府は毎年行ってきた北朝鮮に対する米と肥料の支援を直ちに中断した。しかし、北朝鮮は10月に核実験を強行した。その後ようやく6カ国協議が開かれたが、何の成果を出すこともできずに2007年を迎えた。北朝鮮の時間稼ぎ戦術で、核実験の情勢と南北関係は膠着した。

こうした状況の中、イ・ジェャ涛揶齒ネ長官が突然、‘無償で北朝鮮に米と肥料を支援する方案を検討する’と発表した。北朝鮮に対する追加圧力カードを出さなければならない時点で出たこの長官の発言は、驚くべきものであり、疑わしくもある。‘何か他の目的がある’と思わざるを得ない。

人道的レベルで条件なしの無償支援の方案を検討すると言いながらも、言葉尻に首脳会談の話が出て、’他の目的’が見え隠れする。イ長官はひたすら人道的支援の必要性を力説した後、こっそりと南北首脳会談は定例化しなければならず、必要であれば特使の交換を検討することも可能だと語った。

当初、政府が北朝鮮に米と肥料の支援を中断した理由は、北朝鮮のミサイル打ち上げだった。それに続いた核実験は対北支援中断の名分を一層強めた。したがって、ミサイルと核問題の解決の糸口が見えない限り、対北支援を再開することは好ましくない。政府にこの点が分からないわけではない。にもかかわらず’人道的レベル’という言葉で美化し、米と肥料をただで与えようとするのはなぜであろうか。‘大統領選挙用の南北首脳会談’を開こうとするのではないかという疑いは払拭されない。

北朝鮮の住民に直接支援する方案から発浮ケよ

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政府が人道的支援を対価に、政治的利得を得ようとする国民的 ‘心情’と ‘非難’を避けることができる方法は三種類ある。

第一に、人道的支援の食糧が北朝鮮の住民に直接届く方法を考えることである。食糧は飢えに苦しむ北朝鮮の住民に必要である。金正日政権の軍や党幹部に与えるのは人道的支援ではない。韓国政府が直接飢えた子供と老弱者たちに食糧を支援するという約束を北朝鮮政府にさせなければならない。

第二に、北朝鮮政府からそうした約束をさせる意志と能力がなければ、かえって国際機関に米と肥料の支援をまかせるほうがよい。国際機関の食糧配分方式が、韓国政府の方式に比べて、透明性が高い。表では ‘人道的支援をする’と言い、陰で政治的利得を得ようとするのではなく、本当に人道的支援をしようとするのならば、そのようにできないはずがない。

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第三に、一番目と二番目の方法を受け入れることができなければ、6カ国協議が進展するか、北朝鮮の態度に変化が見られるようになるまで待つべきである。国内の政治のために北朝鮮の住民の人権まで利用しようと思ってはならない。

私たちの与える食糧が、本当にそれを必要としている北朝鮮の住民に届いたら、誰が人道的支援に反対するであろうか。人道的支援と言いつつ、南北首脳会談を求め、その対価として韓国政府が与える’贈り物’が’政治米’であったら、人道的支援といえるのだろうか。

イ長官は米と肥料の無償支援を語る前に、’韓国政府はこうした方法で北朝鮮の住民に支援が届くようにする’という方案を先に発表し、国民を説得しなければならない。その方案が出なければ、いくら人道的支援を力説しても、その言葉をありのまま信じる国民はもはやいない。

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[李光白]

全北イムシル生まれ(1970年)/ウォングァン大法大/市民行動21 地方自治センター所長/時代精神編集委員/現、北朝鮮民主化ネットワーク研究委員