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今年8月末に発生した台風10号(ライオンロック)による影響で、壊滅的な被害を受けた北朝鮮北東部。金正恩党委員長の掛け声のもと、被災地では大々的に復興事業が行われているが、現場では労災死亡事故が相次いでいる。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、会寧(フェリョン)市五鳳里(オボンリ)の住宅建設工事現場で、ショベルカーが大きな水たまりを埋める作業をしている最中、いきなりそばの壁が崩れた。兵士8人が下敷きになり、うち4人が死亡、4人が重傷を負った。

当局は、死亡者や負傷者に何らかの措置を取るどころか、事故を隠蔽しようとしており、死亡者の葬式すら行わなかったという。

北朝鮮当局は一般的に、労働災害などで死亡者が発生すれば、「党と首領への忠誠心が格別に高い者が命を捧げた」などしながら、プロパガンダに利用する。

しかし、今回は不注意による事故ということからプロパガンダに利用せず、さらに事故のニュースが拡散すると世論が悪化しかねないという判断の下、隠蔽を図っている。

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「死亡者の遺族は、大切な子どもを失ったのに、当局の目が気になって、表立って悲しむことすらできずにいる」(情報筋)

このような労災事故は先月にも発生した。被災地が広範囲に渡り、動員された人員が多いことを考えると、他でも多数発生していることは想像に難くない。その原因は、北朝鮮の病弊の一つである「速度戦」のせいだ。

速度戦とは、いわば突貫工事。指導者の記念日などに完成日を設定し、無理やり工事を進めて成果だけを追求する。この速度戦のせいで、手抜き工事や事故が相次ぐのだ。2014年には、平壌市内のマンションが崩壊し、数百人に及ぶ死者が発生し、党幹部が謝罪する事態に発展した。

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それにもかかわらず北朝鮮は、このようなやり方を一向に改めようとしない。

速度戦について、元高級幹部の脱北者はデイリーNKに次のように語った。

「速度戦は金日成の時代から続く、北朝鮮式社会主義体制の優越性を宣伝するためのプロパガンダだ。また崩壊事故が発生したとしても、金正恩時代に新たに登場した『朝鮮速度』を諦めることは簡単ではない。当局は、民心を確保し体制の安定化を図るためにも、住民のための成果を何としてでも見せなければという強迫観念に縛られている」

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