これは金正恩氏にとって、禍を転じて福と為す結果になるかもしれない。北朝鮮当局はこれまで、豆満江の川辺にあった村落が脱北の温床になっていると見て移転を試みていたが、うまく行かなかった。
しかし、今回の洪水でその村々は消え、当局は遠く離れた山裾に新たな村を作った。また、新しい住宅には塀がなく、誰が出入りしているか丸見えだ。川に沿って幅広の警備道路が作られ、鉄条網が整備され、監視カメラまで設置されたら、アリの這い出る隙もなくなる――。
さすが、脱北のリスクを知る当事者だけに、懸念する内容も具体的だ。チュ記者はまた、村民の家に警備隊員が隠れて出入りすることができなくなったことで、彼らが脱北ブローカーや密輸業者と結託するのが難しくなる点も指摘している。