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中朝貿易の要所である北朝鮮の新義州(シニジュ)が砂ビジネスに沸いている。平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、毎日大量の川砂や砂利が北朝鮮から中国に輸出されているというのだ。

砂ビジネスを主導しているのは新義州海運事業所。元々は国営の事業所だが、国からの予算、資材供給がストップしたため、慢性的な資金難に喘いでいた。所有する船舶を運航することすらままならない有様だった。

しかし、北朝鮮当局が国営企業に「自力更生」、つまり独立採算制で運営することを求めたことから、状況は一変する。

海運事業所が目をつけたのが国境を流れる鴨緑江の川砂だ。いくら取っても枯渇することがない川砂は打ち出の小槌のようなものだ。

この砂を採取し、中国の建設業者に輸出するようになったが、これが大当たりする。今では「国営」は名ばかりで「私企業化」している。

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情報筋によると、新義州の港には毎日数多くの中国船が入港し、一日100トン以上の川砂や砂利を満載して出港するほどだという。

さらに、自前の船だけでは輸送できず、他の国営海運事業所や、トンジュ(金主、新興富裕層)が経営する川砂採取会社に、砂ビジネスへの参入を呼びかけるに至った。

呼びかけに応じた平安南道(ピョンアンナムド)安州(アンジュ)市にある105砂事業所は、清川江(チョンチョンガン)で採取した砂を、新義州海運事業所に納品している。

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砂ビジネスで儲けた海運事業所は、石炭輸出業にも進出するなど、事業規模は拡大の一途を辿っている。

この繁盛ぶりに、同事業所の従業員も大歓迎だ。ふんだんな食糧配給に加え、5万北朝鮮ウォン(約600円)の月給が支給される。4人家族なら十分に養っていける額だ。

一方、北朝鮮当局も砂ビジネスの大盛況に満更でもないようだ。

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国営事業所の好調ぶりは「金正恩元帥様の温かいご配慮によるもの」などと宣伝に利用できる。また、平壌市内のタワーマンション団地「黎明(リョミョン)通り」の建設工事で大量に必要となる砂をこの事業所に任せておけば、確保できるからだ。

さらに事業所は新たなビジネスにも進出した。それは名義貸しだ。トンジュが海外から輸入した大型船に、名義と権限を貸し与える。じっとしていても利益の3割が手数料として転がり込んでくるので、まさに「濡れ手に粟」だ。