いずれにせよ、拉致問題も含め日朝交渉は今後より厳しくなることは覚悟しておかなければならいようだ。
まず、金正恩体制は核実験とミサイル発射を継続する意思を明確にしている。拉致被害者の家族からは、政府に「核問題と切り離して拉致を最重要課題として取り組んでいただきたい」と求める声もある。その切実な思いは理解できるが、日本政府は北朝鮮の国家的な人権侵害を国連で告発してきた立場がある。
そうした経緯をないがしろにして「他の人権問題や核・ミサイル問題は関係ありません。日本政府は、日本人拉致問題だけに取り組みます」では通用しない状況になっているのだ。日頃から訴えてきた「国際連帯をもって拉致を解決する」というスローガンを自ら空証文にしてしまうだろう。なによりも、北朝鮮側から足下を見られ、国際連帯の隙を突かれる可能性が高い。