連載・日本の対北朝鮮情報力を検証する/海上保安庁編(1)

2016年3月19日、安倍晋三首相が歴代総理大臣として初めて、海上保安官を養成する海上保安学校(京都府舞鶴市)の卒業式に出席し、「海保の役割と重要性は増していく」と訓示した。安倍首相の卒業式出席は、中国船による度重なる尖閣諸島への領海侵犯が背景にあり、出席自体が中国へのメッセージであると大きく報じられた。だが、ある海上保安官このニュースを見て、「安倍首相こそ対北情報戦で大きな誤りを犯した張本人だ」と表情を曇らせた。

日本では、防衛省情報本部が電波傍受や偵察衛星で北朝鮮の情報を収集し、外事警察や公安調査庁が朝鮮総連関係者や脱北者などから北朝鮮に関する情報を聞き出している。そして、これらの機関が集めた情報が内閣合同情報会議で随時報告され、共有される――ここまでは本連載でも触れてきたし、巷でも知られている話だ。

安倍首相の過ち

だが、ある海上保安官は、「あまり知られていないことだが、海保は情報コミュニティの中で大きな役割を果たしてきた」と語る。