「協同農場の班長も、自分たちが一年かけて育てたコメが奪われる状況を見て『コメがあるうちに盗め』『盗まないやつはバカだ』などと言う。保安員(警察)や保衛員(秘密警察)も、表では『穀物の窃盗は重罪』などと言っているが、裏では『田畑にコメがあるうちにさっさと持っていけ』と言っている」 (別の情報筋)
村ぐるみでコメの窃盗に乗り出しているのは、大飢饉の記憶が生々しいからだろう。黄海南道(ファンヘナムド)の延安(ヨナン)、白川(ペチョン)、青丹(チョンダン)を中心とした地域では2012年、極端な食料不足で大量の餓死者が発生している。
その原因は、金正恩氏の「指導者デビュー」を祝う「どんちゃん騒ぎ」を数カ月にわたり続けるため、黄海南道の食糧を、権力が根こそぎ徴発してしまったからだ。
(関連記事:「人肉事件」の悲劇再現か…北朝鮮で「人災飢餓」発生の情報)