例えば今年6月、国連北朝鮮人権事務所(ソウル)の開設1周年を記念して開かれたシンポジウムで、米国のNGO「北朝鮮人権委員会」のグレッグ・スカラチュー事務総長が、与正氏を制裁指定すべきだと主張している。
その理由は主に、与正氏の役職のためだ。北朝鮮の内部情報筋によれば、与正氏は2012年2月に朝鮮労働党中央委員会の宣伝扇動部で政治行事を担当する1課長に任命され、2014年10月には同副部長に昇格したという。副部長と言えば、日本の中央省庁の審議官から事務次官級に相当する高級官僚だ。
また、宣伝扇動部は、国民の思想や情報の統制を司る部署だ。北朝鮮で外部の情報に触れた人々が、拷問や銃殺を含む厳しい処罰を受けているのは、周知のとおりである。
(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…)