今から2年前の2014年、金正恩氏暗殺を描いたコメディ映画「ザ・インタビュー」をめぐって配給会社であるソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)に対して大規模なサイバー攻撃が仕掛けられた。SPEは一時は映画の公開を見送り、オバマ米大統領がその判断に対して懸念を示すなど大騒動になった。
真偽はいまだに不明だが、米政府は北朝鮮がサイバー攻撃に関与したと見ている。北朝鮮は一貫して潔白を主張したが、日頃からサイバー攻撃を展開していることから犯人扱いされてしまった。さらに極めて低俗な映画だった「ザ・インタビュー」は、「北朝鮮がサイバーテロを仕掛けるほど激怒した映画」ということで話題となり、挙げ句の果てには自国への流通を恐れた北朝鮮当局が禁止令を出して過剰反応するという、まさに地雷を踏む事態となった。
(参考記事:北朝鮮「ザ・インタビュー」を見たら厳罰、流布したら銃殺!)結局、金正恩氏はインターネットを活用し、サイバー攻撃に力を入れたことにより、自身の権威が下がりかねない事態を招く──つまり「やり過ぎてしまった」わけだ。
(参考情報:金正恩氏が登場する「わいせつ動画」の怪情報)
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。