7日(現地時間)に開かれる北朝鮮の人権状況に関する国連人権理事会の「普遍的定例検討 (UPR・Universal Periodic Review)」を控えて、韓国を含む10ヶ国が北朝鮮の人権状況に対する事前質疑書を提出した。
デイリーNKが事前質疑書を入手して分析した結果、北朝鮮の政治犯収容所など拘禁施設で起きている人権侵害の実態や北朝鮮に強制送還された脱北者に対する処罰、宗教・表現の自由など基本権の侵害、民間人拉致被害者問題など北朝鮮の人権状況に対する各国の問題意識が幅広く盛り込まれていることが分かった。
質疑書を提出した国家は韓国と日本、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、スイス、アルゼンチン、チェコ、デンマークである。
各国は北朝鮮内で起きている人権侵害を徹底的に検証するという方針を出すと同時に、北朝鮮が国連に加入した際の人権協約に基づいて人権改善措置を取るように圧力をかける予定。
韓国・日本 “民間人拉致被害者問題を解明しなさい”
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面韓国は質疑書で、離散家族の当事者の高齢化を考慮して、家族の生死の確認などが優先的に行われなければならないと提案し、朝鮮戦争以後、北朝鮮に拉致された民間人について北朝鮮政府が解明するよう求めた。また、強制送還された脱北者たちに対する処罰の種類と程度に関する資料を提出し、人権侵害を改めるためにどのような措置を講じているのか追及している。
これ以外にも、北朝鮮政府が児童や女性など脆弱階層に特別に配慮し、食糧支援の公正な配給を監督することができるように国連機関と人道支援団体の内部へのアクセスを許容しなければならないと主張した。
日本は北朝鮮が日本人拉致被害者問題再調査委員会を設立しない理由を問い、今後の拉致問題の解決に関する計画について追及している。また、強制送還された脱北者の公開処刑を含む苛酷な処罰に対して憂慮を表明すると同時に、政治犯収容所も廃止しなければならないと指摘した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面さらに国連は、深刻な栄養不足による児童の成長の遅れや疾患などに関して憂慮を表明していると述べ、北朝鮮政府は住民の食糧の安全及び児童の栄養不足を防ぐためにどのような措置を取っているのか質疑している。
“市民的-政治的自由を保障して脆弱階層を保護すべき”
ヨーロッパの国々は自由権など基本的権利の保障と、児童や女性の人権侵害の問題に高い関心を寄せている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ドイツは宗教の自由、表現の自由に対する憂慮を表明し、国連の市民的・政治的権利に関する規約の履行の可否について質問している。イギリスは拷問を撤廃するための努力の可否、死刑執行、集会・デモの自由の保障などについて質疑している。
スウェーデンは児童の栄養不足や児童の生命と開発権を保障するための措置、独立した司法機関の存在の可否について尋ねている。また、北朝鮮が2009年に憲法を改正して初めて人権について言及したが、政治犯は法に基づく訴訟手続きをとることができないと指摘した。
スイスは国連北朝鮮人権特別報告官の入国の許可、海外旅行の自由の保障などについて質疑している。
アルゼンチンは北朝鮮の外国人拉致や自国民の強制失踪の実態、家庭内暴力と性暴力を含む女性に対する暴力を撤廃するための努力の可否を尋ね、チェコは拘留施設での人権侵害の実態と、成分に基づく差別の可否について質疑している。
デンマークは北朝鮮政府が食糧難を解決するために努力するよう促すと同時に、準軍事機関の徴兵が8歳からである点を指摘して、「児童兵士」の可能性について追及した。
この準軍事機関は満7歳から13歳までの北朝鮮の学生が加入を義務づけられている「朝鮮少年団」を指していると思われる。「朝鮮少年団」は「軍事組織」と見ることはできないが、軍隊や社会での支援活動を団員に強制しており、児童たちを「革命の後備隊」として養成している。
“北の人権を公開の場で検証する機会”…”予想される熾烈な攻防戦”
一方、ウィティット・ムンタボン国連北朝鮮人権特別報告官も7日に開かれる北朝鮮の人権に対するUPRを控えて、脱北者や強制収容所などに対する国際社会の関心を促した。
毎年国連の本会議と人権理事会に報告書を提出しているムンタボン特別報告官は、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のホームページに1日付で掲載したメッセージを通じて、「国際社会が北朝鮮内の人道主義的食糧援助、脱北者の人権、監獄など収容施設の現代化などに関心を向けなければならない」と強調した。
また、北朝鮮に対して初めて実施される今回のUPRが「北朝鮮の人権状況に関する様々な情報を分かち合う機会を提供して、北朝鮮政府と国際社会が時期に適った対話を交わせるように扉を開くことという点から歓迎する」と述べた。
だが北朝鮮はこれまで、国連の対北人権決議案の採択にも強く反発してきたため、今回のUPR審査でも国際社会の指摘を受け入れないと思われる。
政府当局者は「北朝鮮が7日に予定されている自国のUPRに、少なくない規模の代表団を出席させると聞いている」と述べ、「北朝鮮の人権状況をめぐり熾烈な攻防戦が予想される」と語った。