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国連の制裁の対象となっている北朝鮮の船舶が、タンザニアの船籍を取得し、運航を続けていることが明らかになった。報じたのは、米国の北朝鮮専門ニュースサイトの「NKニュース」と、北朝鮮医師によるインチキ治療問題を追跡し続けてきたタンザニアの日刊紙「ザ・シティズン」だ。

ザ・シティズンは10月10日の記事で、北朝鮮が所有している、または関係がある50隻の船舶が、制裁が発効した今年3月以降にタンザニアの船籍を取得した疑惑を報じた。また、NKニュースは北朝鮮船舶の15%がタンザニア船籍で運航していると報じた。

タンザニア船籍の登録を受け付けているのは、タンザニア連合共和国内のザンジバル自治政府の海事庁系の機関「タンザニア・ザンジバル国際船舶登録(TZIRS)」だが、自治政府のインフラ通信交通省のムスタファ・アバウド・ジャンベ大臣は当初「真っ赤なウソ」と報道を強く否定していた。

一方、タンザニア連合共和国のマヒガ外相は「国連の制裁に関連してわが国がまたもやトラブルに巻き込まれた」と怒りを露わにした。

同国では2012年、当時経済制裁下にあったイランの船舶36隻が、ザンジバルでタンザニア船籍を取得したことが明らかになり、同自治政府は船舶を抹消している。登録代行を請け負っていたのは、アラブ首長国連邦のドバイのエージェントだ。

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大臣は「連合政府は国連の制裁対象国の船舶に船籍を与えることに断固反対しているが、悪名高いドバイのエージェントの制裁破りが問題だ」と、ザンジバル海事庁と取引のあったエージェントのフィルテックス社を非難した。

外相の発言の後、ザンジバル海事庁はタンザニア船籍を与えた北朝鮮船舶は50隻にのぼることを明らかにし、そのうち13隻の登録を抹消、今後も順次抹消を行うと発表した。

「ザ・シティズン」は、TZIRSに問題が多く、同機関、ザンジバル自治政府、タンザニア連合政府との間でオンラインの登録、情報共有システムが存在せず、監督体制に穴があることを指摘している。

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アフリカの船舶事情に精通した情報筋が米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、TZIRSは2016年6月以前に登録した外国船舶の船籍はすべて抹消したと主張しているが、現状も承認件数、抹消件数も何一つ明らかになっていない。

タンザニアは、アフリカ本土のタンガニーカと、インド洋に浮かぶザンジバルの2地域からなる連合国家で、ザンジバルには独自の憲法、政府、議会があり、大統領もいる。外交、国防などを除く多くの分野で広範な自治権を認められている。そのため、ザンジバルには中央政府の監督が行き届かないシステムとなっている。

北朝鮮当局は、連合国家特有の体制、1隻2〜3万ドル(約208万円〜312万円)の手頃な登録費に目をつけて、同所での登録を行っていたものと思われる。また、ザンジバル自治政府は、パナマやリベリアのような便宜置籍船国として、北朝鮮船舶の登録を受け付けて、税収増大を狙っていたものと思われる。