人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

イギリスで開かれていた、朝鮮半島の平和統一に関するセミナーに出席して帰国するやいなや、大型事件が1つ起きた。北朝鮮政府が貨幤交換(改革)を断行したという。

内部消息筋によれば、北朝鮮政府は今日(1日)、住民向けの放送である第3放送(有線放送)を通じて、貨幤交換の事実を知らせたそうだ。

放送の核心的な内容は「12月1日から5日間、100:1の割合で新しい貨幤と交換する」というものだった。新しい貨幤(新札)は6日から流通するという。貨幤交換の期間が5日しかないため、今、北朝鮮では大騒ぎが起きているはずだ。

特に、市場の商人たちが混乱しているという。政府が1人当り15万ウォン(古い貨幤)まで交換するという消息が出て、商人たちは極度の混乱に陥っているようだ。1日現在、市場の米1キロが2,200ウォンだから、15万ウォンあれば約70キロの米を買うことができる。市場の商人は市場で商売しながら生計を立てている。そのため、政府の措置はまさに青天のへきれきである。

北朝鮮政府はなぜ貨幤交換を断行したのか?

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

市場経済体制で貨幤交換を実施する主な目的は、限界を越えたインフレーションなどを強制的に調整して「市場の安定」を図ることである。だが北朝鮮は違う。経済の安定よりも「市場の統制」が目的である可能性の方が高いと専門家の多くが分析している。政府が市場で流通している資本を回収して統制するという意図が強いということである。正しい分析と思われる。

しかし概して、国家政策が急に断行される場合、特に貨幤改革のように一時的かつ全面的な措置が必要となる政策の場合、タイミングが重要な意味を持つ。「どうしてこの時点なのか?」と言うことだ。

特に北朝鮮は経済中心の国家ではなく、思想・政治・軍事優先の国家である。国家の主要な政策を決める時、いの一番に重要視される要素が思想・政治・軍事的要素ということだ。中でも、金日成-金正日政権を維持するためという目的が排他的に優先視されている。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

そのため、そうした観点から今回の貨幤交換措置を見る必要がある。まず、経済的理由の前に、政治的理由を注視しなければならないだろう。

1つ目に、今金正日政権にとって一番重要な「課業」は、今後の3代世襲政権の安定を図ることだ。世襲の重要な時期は2012年頃だ。2012年に後継体制が目に見えるようになり、「強盛大国の門札を掲げる」と宣伝してきた。またそうした角度から、金正日政権の飾り(decoration)の役割を果たしているに過ぎないが、今年4月の「憲法改定」で、先軍思想が主体思想と共に北朝鮮の指導思想に加わった。

そのような観点から見たら貨幤交換には、ドルや人民元の為替レートに「朝鮮民主主義人民共和国の貨幣の価値」をちょっと合わせるという意図が伺える。現在、市場では1ドルが3,800ウォン、1人民元は597ウォンで交換されている。経済的な理由とは何の関係もなく、金正日にとっては国家対国家として公平性(?)を多少保つという政治的な意図が潜んでいるようだ。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

高位脱北者によれば、かつて金正日は「日本を押さなければならない」と言って、日本の円と北朝鮮のウォンを4対1に合わせなさいと指示したことがあったそうだ。北朝鮮の貨幤1ウォンを4円にしなさいと無理やり言ったせいで、一時平壌を訪れた日本人観光客が、殺人的な物価に苦しんだことがあったという。もちろん、金正日のこの決定は経済的な考慮とは何の関連もないものだった。今回の貨幤交換にも、「強盛大国」を目指しているため、「朝鮮(北朝鮮)の貨幣の価値」が米ドルや中国人民元から大きく隔たってはならないという金正日の意図があったと見られる。

2つ目に、市場でお金を沢山稼いだ北朝鮮版新興富裕層に対する「規律訓練」という意図があると思われる。

2002年の7.1 措置以後、市場が拡大して、中国との貿易でお金を稼いだ「大きな手」たちが増えた。金正日が首領独裁体制を守る際、富裕層の増加には自分の絶対的な権威に頭を下げないという可能性が潜在する。また、金正日は富裕層と一部の権力エリート、軍部エリートが背後で手を握る可能性を念頭に置いているかも知れない。これを事前に遮断する必要もあるだろう。

もちろん、権力がある人や貿易でお金を稼いだ人の場合、北朝鮮のウォンよりもドルや人民元をたくさん持っているだろう。金正日には、保衛部や保安省の非公開の調査以外にこれを統制できる適当な手段はないだろうが、今回の措置で、人々が富を蓄積することにはどめをかけることができるだろう。つまり、お金持ちに「規律訓練」を施して教育するという付随的な効果があるということだ。

だが、今回の貨幤交換が実際に北朝鮮の住民の民心に及ぼす波及効果は少なくないだろう。

現在、北朝鮮の住民たちが実生活で市場に依存する度合いは非常に高い。市場を通じて生計を立てて、病院の医療費や教育費などを手に入れるなど、ここで基本的な生活費を解決している人が多い。今回の措置で一番損した -事実上破産した- 階層は、現金をたくさん所持して中間の流通業に携わっている商人たちだ。この人たちは市場では「声」も大きい方で、制限的にではあるが民心を左右する役割も果たしていた。今後、この人たちの反発がどのように現われるのか、今の時点では予測がつかない。

今回の措置が短期的に市場を萎縮させるのは明らかと見られる。しかしこのような強制的な市場の萎縮は、今後北朝鮮の住民の生計の基盤である市場を中心に、より大きな反発をもたらす可能性が高い。そのような点から、3~4ヶ月後に現われる今回の措置の「後日の禍」を注視する必要があるだろう。

いろいろなことがあり、北朝鮮の庶民にとってこの冬は非常に寒い冬になりそうだ。