昨年、金正恩氏は魚粉飼料工場を現地視察した際、「魚の生臭い匂いがしみた匂いをかぐと気持ちが爽やかになる。養魚場ごとにウヨウヨしているサカナの群れが、目の前に浮かぶ」と大喜びした。その反面、スッポン工場を現地指導した際は、管理不行き届きという理由で工場責任者を処刑。それだけでなく、その直前の激怒した動画まで公開した。
(参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導)金正恩氏が、水産資源を重要視する姿勢を見せるのは当然だが、その本来の目的は庶民の食生活を向上させることだ。いくら不備があったからといって、工場責任者を処刑すれば庶民の食生活がよくなるというものでもない。その辺の道理を、正恩氏はわきまえるべきだ。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。