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北朝鮮の住民が外国からの情報を入手するにあたって、民間人が経営するビデオボックスが利用されていることが明らかになった。

先月28日、北韓情報自由国際連帯(ISFINK)主催の「対北朝鮮メディアコンテンツ強化と革新方案を模索する国際会議」で明らかにされた。

証拠映像を公開

会議のなかで、ISFINKは今年5月に北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)で撮影された映像に、脱北者の証言を加えて制作した「北朝鮮情報自由化の夢、電波に乗せて」という映像を公開。北朝鮮の人々がいかにして外国から情報を入手するのか説明した。

映像にはビデオボックスを訪れた男性客と女性店主との次のような会話が収められている。

男性:映画は最後まで見なきゃダメですか。
女性:大丈夫ですよ。最後まで見られますか。
男性:そろそろ暗くなるなら、最後までは見られそうにないですね。
女性:だったら500(北朝鮮)ウォンでいいですよ。

ポルノビデオも

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この会話から、短時間の利用なら500北朝鮮ウォン(約6円)、長時間ならそれ以上の料金を支払う仕組みになっていることが伺える。

咸鏡北道のコメ1キロの値段が5000〜5300北朝鮮ウォン(約63〜67円)であることを考えると、非常に安く利用できるようだ。

さらに映像には、母子と思しき2人がビデオボックスの部屋に寝転び、トウモロコシをつまみながら、壁にかけられたノートテル(中国製携帯用マルチメディアプレイヤー)で外国映画に見入ってる様子が映っている。部屋は暗くしてあるが、それほど緊張感は感じられない。

ハリウッド映画も

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しかし、外国からの情報に接することは、厳罰に処せられる可能性のある違法行為だ。

ISFINKの関係者は、ビデオボックスについて北朝鮮国内の情報筋の話を引用し次のように説明した。

「ビデオボックスで映画を見るには身分証の提示が求められる。一般人と分かればハリウッド映画のソフトを貸し出すが、保安員(警察官)や保衛員(秘密警察)と分かれば『ハリウッド映画はない』と告げる。だからと言って『帰れ』とは言えないので、代わりにポルノビデオを見せる」

北朝鮮で韓国ラジオを聴いた

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しかし、保安員は「みかじめ料」を受け取った上で、外国映画を見せろと要求してくるのだという。外国からの情報を取り締まる立場の人間が、むしろ積極的にそのような情報に接しようとしているのだ。

続いてISFINKは、脱北者や現在北朝鮮に住んでいる人の証言を引用し、映像コンテンツのみならず、対北朝鮮ラジオ放送が重要であることを強調した。

平壌出身で現在は韓国に暮らすチェ・ソングクさんは、ノートテルで韓国の映像コンテンツに初めて接した時のことを、次のように回想した。

英公使の脱北も知っている

「韓国のラジオを初めて聞いた瞬間、頭の上から足の先までスッキリするような感じを受けた。海外からの情報は単なる情報ではなく、人生の解けない問題を解いてくれるようなものだった。北朝鮮がいくら独裁政治、恐怖政治だと言っても、人民の変化に合わせて政権も変化せざるを得ない」

また、平安南道(ピョンアンナムド)の住民は、北朝鮮で韓国や米国のラジオ放送がいかに聞かれているかについて、次のように語った。

「英国から誰か(テ・ヨンホ公使)が亡命したニュースもラジオで聞いた。今では誰でも聞いている(から取り締まりが緩くなった)。人々と話をしていると、ラジオで言っていた話題が出ることを考えると、ほとんどの人が聞いているようだ」

スマートフォンでK-POP

さらに、両江道(リャンガンド)出身の脱北者のキム・ヒョンスさんは、韓国のラジオを初めて聞いたときのことを次のように思い起こした。

「友達を通じて韓国のラジオを初めて聞いた。北朝鮮の放送でかかる音楽は100%が指導者を褒め称えるものだ。韓国の音楽はとても自由で、心や暮らしに合ったものだ。だから一度聞けば何度でも聞きたくなる。また、とても勉強になる。」

海外に派遣されている労働者の一部は、スマートフォンでネットにアクセスし、対北朝鮮ラジオ放送を聞いている。海外派遣後に脱北したチョン・ギチョル(仮名)さんは次のように語った。

対北ラジオも

「北朝鮮にいた頃は『国民統一放送やラジオ・フリー・アジアなどの敵の放送は聞くな』と耳にタコができるほど言われていたが、海外に出て聞く機会を得た」

「市場でスマートフォンを買ったら、現場で一緒に働く別の国出身の外国人労働者が使い方を教えてくれた。そして国民統一放送やラジオ・フリー・アジアを聞くようになった。北朝鮮国内の政治講演会やプロパガンダで聞かされていたことは事実と異なることを確認できた。毎日新しい情報を伝えるラジオは、北朝鮮国内で口コミを通じて情報を広げるのに最も有効」

「情報により多く接した人ほど、政権に対する不信感が高まる。何が真実で、何が偽りかをわかっている人はわかっている。韓国政府、市民団体、世界各国の北朝鮮の人権を大切に考えている人々には、このこと(北朝鮮への情報流入)について、もっと頑張って欲しい」

ISFINKのカン・シンサム代表は「北朝鮮の人々がどれだけ海外からの情報を欲しているかを知らせたかった」として「現在、北朝鮮に対しては経済制裁が行われているが、真の変化のためには『北朝鮮国内情報自由化』の促進を促すべきだ。そのためにも海外からの情報を流入させることが欠かせない」と述べた。