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「60年に一度の大災害」と言われるほど甚大な被害をもたらした北朝鮮東北部の大水害。被災地では物価の急騰が伝えられていたが、最近は落ち着きを取り戻しつつあるようだ。

先週、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の情報筋は「当局が住民を復旧作業に動員し、その邪魔になるとの理由で市場での商売を禁止したため、食料供給が減った上で、交通網の寸断で物資が供給されなくなり、物価が上昇した」と伝えていた。

当局が市場に介入

一方、27日の時点で咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、水害前とそれほど変わりない物価水準に戻ったと伝える。

水害直後、一部の商人は1キロあたり5000〜5300北朝鮮ウォン(約60円〜63.6円)ぐらいのコメを8000北朝鮮ウォン(約96円)で売るなど、便乗値上げに乗り出した。

実際、会寧(フェリョン)の市場では6000北朝鮮ウォン(約72円)まで上がったが、現在では5000北朝鮮ウォン代に戻った。情報筋はその理由を次のように説明する。

不満を抑えるため

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「保安員(警察官)や巡察隊が出動して、コメの買い占めや便乗値上げを厳しく取り締まった。コメの値段は落ち着き、豚肉1キロも1万3000北朝鮮ウォン(約156円)で以前と変わらない。物価は全体的に安定している」

流通システムが不十分な北朝鮮では、何らかのトラブルが起きるとたちまち物資の供給が滞り、物価が高騰する。その不満の矛先は、金正恩政権へと向かう。

これまで、金正恩体制は市場に対して積極的な介入を行ってこなかった。今回の物価統制の裏には、人々が不満を抱くことを未然に防ぐ目的があるようだ。

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また、非常事態が起きればいつでも市場統制に乗り出す姿勢と、その能力があることを住民に見せつけるという意図もあると見られる。

さらに当局は、被災者にコメ、トウモロコシ、タイ米、布団、衣服、食器など1週間分の食料や生活必需品などを配給しているが、これも同じ目的のようだ。

物資は「被災地外の各工場、企業所、人民班(町内会)から供出させたもの」(情報筋)だという。

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そのせいか、受け取る支援物資がそれぞれ異なり、ある家は布団がもらえず、ある家は下着がもらえなかったなど、ちぐはぐなことになっている。

情報筋は、被災地の復旧に動員された10万人の人員については触れていない。しかし、案の定「食料調達は現地で行え」と指示されているため、人員が現地に到着するにつれ、物価が再び高騰に転じる可能性もある。

また、水害によって農作物の収穫が大打撃を受けるなど、被災地では様々な問題が発生するかもしれない。