北朝鮮から中国に派遣された女性労働者が、売春や性接待などを強要されている実態が明らかになった。

東京新聞の23日付朝刊によると、北朝鮮の女性労働者が、売春を強要されたり、監視役に性的関係を強要されたりするケースが相次いでいるという。

アキレス腱を切断

記事が伝える女性労働者の悲惨な状況は、デイリーNKジャパンが伝えたきた内容とも一致する点が多い。

女性だけでなく、北朝鮮から海外に派遣された労働者が、劣悪な環境での仕事を強いられていることは国連などの報告書で明らかになっている。そればかりか、現場では逃げ出そうとした労働者が、せい惨な私刑(リンチ)を受けているという情報もある。

美貌のウェイトレス

今年4月、北朝鮮レストランの従業員13人の集団脱北事件が起きた。これまでも、北朝鮮レストランのウェイトレスが失踪する事件は度々起きている。その理由の1つが、北朝鮮本国へ送る外貨ノルマ達成のために強要される「売春行為」であり、これについても記事では触れられている。

中国のみならず、東南アジアを中心に展開されている北朝鮮レストランのウェイトレスらは、美貌揃いで韓国にもファンが多い。こうした女性たちに売春を強制する実態が、改めて浮き彫りになった。

さらに、記事によると縫製工場などで働く女性労働者が、監視役である保安要員に性的関係を強要され、妊娠、出産。その直後に北朝鮮に送還されたという。

許しがたいことに、その保安要員は責任を問われるどころか、「同様の行為を続けている」とのことだ。

北朝鮮問題といえば、核・ミサイル、そして脱北者問題などが中心に語られることが多い。しかし、今も北朝鮮にいる人々、とりわけ女性たちが、国家ぐるみと言っても過言ではない人権侵害を受け、救済措置もなく、涙を流していることを決して忘れてはならない。もちろん、こうした人権侵害において、最も責任を問われるべきは、金正恩党委員長である。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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