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中国には、朝鮮半島にルーツを持つ「朝鮮族」と呼ばれる約180万人の人々が暮らしている。その大多数が歴史的経緯により中国国籍を持っているが、北朝鮮国籍を持つ「朝僑」と呼ばれる人々も3000人ほど存在する。

彼らは「在中朝鮮人総連合会」を結成し、北朝鮮に忠誠を誓っている。中には当局に協力して、命からがら中国に逃れてきた脱北者を密告する役割を請け負っていた者もいた。そうしたことから彼らは、脱北者からも朝鮮族からも漢族からも蛇蝎のごとく嫌われ、ひどい言葉で罵られる存在だ。

ところが近年、彼らの北朝鮮離れが徐々に進んでおり、北朝鮮当局の指示に従わない人が多くなっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

吉林省延辺朝鮮族自治州の情報筋によると、北朝鮮当局は朝僑に対して、対北朝鮮貿易における優先権、祖国訪問無料ツアーなど様々な特権を与える代わりに上納金を納めさせる形で、彼らを利用してきた。

しかし、山東省在住の朝鮮族情報筋によると、朝僑たちはかつてのように北朝鮮当局の指示に従わなくなってしまった。脱北者の密告はかなり前からやらなくなり、上納金の納付指示にも強く反発するようになった。

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最近、瀋陽の北朝鮮領事館は、地域の朝僑に対して「祖国の建設支援金を出してほしい」と要求したが、半強制的に徴収しようとする領事館の態度に対して露骨に不満を口にしているという。

経済が苦しいのに核やミサイルの開発、プロパガンダ用の高層マンション団地の建設にばかりカネを注ぎ込み、朝僑にカネをせびる北朝鮮当局の態度に怒りを露わにし、「北朝鮮国籍を放棄するぞ」と反発している。

朝僑の北朝鮮離れは既にかなり前から進んでいる。

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2010年11月18日の「揚子晩報」は、中国江蘇省鎮江市に住む当時61歳のキム・ジョンジャさんが中国国籍を取得したと報じた。

1950年にハルビンで生まれたキムさんは、1958年に家族と共に北朝鮮に戻って朝鮮籍を取得したが、1965年に再度中国に戻って漢族の男性と結婚。それ以来、鎮江で暮らしてきた。

しかし、国籍の問題で医療保険が適用されないなど、様々な不利益を被ってきた。かつては、中国各地に存在した北朝鮮領事館やその関連団体が、地域在住の朝僑に様々な便宜を図り、その穴を埋めていた。

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ところが、領事館は、共産圏が崩壊し、経済が苦しくなった90年代から次々に閉鎖され、事実上の「棄民」となっていたのだ。

キムさんのニュースがネットを通じて中国全土に広がり、各地の北朝鮮大使館、領事館前には、中国国籍の取得に必要な「国籍放棄確認書」を取ろうとする朝僑たちが列をなした。また、地元の公安局にコネがある人は「確認書」なしで中国国籍を取得する「裏ワザ」も紹介されるなど、朝僑コミュニティは大きく揺らいだ。

何の得にもならない北朝鮮国籍を放棄しようとする人は、潜在的にはかなりの数にのぼると見られる。