豆満江流域の各都市には、災害救助隊もいなければ、救助設備もない。そのため、何かあれば中国の人民解放軍に救助を要請するのだ。このような状況は災害時だけではない。緊急患者が発生すれば、中国の税関を通じて医薬品を手に入れてもらうなど、普段から中国に頼りきっている。
穏城の中洲に取り残された北朝鮮の住民3人が中国軍に救出されたが、住民たちは「中国軍でなければ3人は流されて、死んでいただろう」「外国の軍隊より役に立たない朝鮮人民軍」「大雨より恐ろしい人民軍」「出動させない方がまだマシ」などと批判しているという。
(参考記事:北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図)(関連記事:北朝鮮「大規模イベント」の裏に隠された悲劇…食糧「消滅」で人肉事件も)
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。