ロンドン駐在の太永浩(テ・ヨンホ)北朝鮮公使が脱北し、韓国に亡命した事件を受けて、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が、中国駐在の貿易関係者の反応を伝えた。

中国に在住するRFAの対北朝鮮情報筋は、「北朝鮮の貿易関係者たちは、今回の亡命事件のとばっちりを受けるのではないかと極度に緊張している」と前置きしながら、「しかし、テ公使一家を羨ましがる素振りを見せている」と語っているという。

テ公使を悪く言わない

ある貿易関係者は、テ公使の亡命を伝える韓国のテレビニュースを見ながら、羨ましがっていたという。

「韓国に行こうにも行けない我々が彼を悪くいうことはない」

情報筋は、貿易関係者らと5年にもわたる親交があるが、彼らはなかなか本音を言おうとはしない。

しかし、今回の事件を受けて北朝鮮の貿易関係者が打ち明ける様子を見ながら、彼らが置かれている厳しい状況が垣間見えたと語った。

脱北出来ない理由は…

脱北しようにも脱北できない理由とは何か。それは北朝鮮に「人質」がいるからだ。別の情報筋は次のように語る。

「外交官や貿易関係者の多くは、海外に赴任する際、北朝鮮に子どもを残すことを強いられている。脱北するとなれば、残された子どもがどんな目に遭うかわからないと考えると、脱北したくもできない」

条件がそろって、機会さえあれば脱北したがる彼らは「潜在的脱北者」と言えよう。こうした雰囲気を察知したのか、北朝鮮当局は、彼らへの締め付けを強化している。

別の外交筋は、2009年から実施されている「家族同伴制度」が廃止される公算が高いと見ている。

家族が離ればなれになることに対して強い不満を持つ人が多いことから実施されたこの制度だが、北朝鮮当局が懸念していた通り、脱北を助長する結果となってしまった。

テ公使一家以外でも、今年7月にロシア駐在北朝鮮大使館のキム・チョルソン3等書記官が家族連れで脱北、韓国に亡命している。

外交官や貿易関係者の家族に対して召還命令を出せば、これが逆に脱北を煽る可能性も指摘されている。「最後のチャンス」だと脱北に踏み切る家族が出てくるということだ。

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