北朝鮮の朝鮮中央通信は13日、米軍がグアムの戦略爆撃機部隊を増強していることを強く非難する論評を配信した。

米軍は6日、従来のB-52戦略爆撃機に代わり複数のB-1B戦略爆撃機をグアムのアンダーセン空軍基地に配備。また9日には、核搭載能力があり、ステルス機能も備えたB-2戦略爆撃機の同基地への一時配備を発表した。

激太りの歴史

これを受け、朝鮮中央通信は10日にも、今回と同じような内容の論評を配信したばかりだ。

北朝鮮は通常、こういった場合には複数のメディアに散らして非難の論評を載せることが多い。同一メディアが3日間隔で、ほとんど同じ内容の論評を配信するのは、金正恩党委員長が米軍の爆撃機増強によほど焦りとストレスを感じているからだろう。

なぜそう考えるかというと、北朝鮮のメディア戦略は、正恩氏が直轄していると見られるからだ。そうでなければ、北朝鮮メディアが正恩氏のヘンな写真を次々と公開することなどありえない。

正恩氏が米軍の爆撃機増強にナーバスになるのも、もっともなことではある。米韓は昨年来、正恩氏ら北朝鮮指導部に対する「斬首作戦」導入に向けた動きを見せてきた。

また5月末には、米国政府と関係が深く、「影のCIA」の異名で知られる軍事情報会社「ストラトフォー」が、十数機のB-2爆撃機と24機のF-22ステルス戦闘機を中心とする戦力で、北朝鮮の核関連施設とミサイル発射施設を叩く作戦シナリオを発表した。

こんな状況の下では、正恩氏でなくともグアムのB-2爆撃機配備には神経質になるだろう。

トイレにもストレス

しかし正恩氏は、こうした場面で感じるストレスの方にこそ、危機感を覚えた方が良いかもしれない。

韓国の国家情報院(国情院)は7月1日、正恩氏の体重が130キロと見られるとの分析を示した。もともと太目だった正恩氏の体型の変遷を検証すると、2013年8月あたりから本格的に太り始める。粛清の刀を振り回して恐怖政治を強化した時期と、急激に肥満度が高まる時期が一致するのだ。

恐怖政治を激化させる中で、なんらかの猜疑心やストレス、プレッシャーにさい悩まされたことが極度の肥満をもたらした可能性は充分にある。

正恩氏は、フツーのトイレを使うことができないなど、普段からストレスを感じることが少なくないとされる。

しかし、米軍から爆撃機でプレッシャーをかけられるほど、強いストレスを感じることもあるまい。正恩氏には、そこから逃れる道もある。核・ミサイル開発の暴走をやめれば良いのだ。

それが出来ないというなら、自分の心と体がいずれプレッシャーとストレスに押しつぶされる日が来ることも覚悟しておくべきだろう。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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