世界的に流行している新型インフルエンザと、中国から入ってきた冬季インフルエンザに対し、北朝鮮の保健当局が対策作りに苦心していることがわかった。しかし、症状を診断できる設備や治療薬が無いため、風邪の症状が見られる患者の間で混乱が起きているという。
両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は1日、「北朝鮮当局が10月初旬から各地の衛生防疫所に『防疫対策委員会』を組織して、豚インフルエンザ(新型インフルエンザ)の疑いがある患者の対策作りに取り組んでいる」と伝えた。
情報筋は「風邪の症状がひどい患者に限って中国製のインフルエンザ薬を処方している。しかし、薬がなかなか手に入らないため、薬を飲むことができない患者が多い」と伝えた。
両江道の場合、風邪の症状がひどい人は恵山市病院で診療を受けることになるが、この病院でも患者の体温と問診だけで感染の有無を判断しているという。
情報筋は、「検査といっても体温を測って聴診器で呼吸音を聞くだけで、特別なことはしない。熱があることが確認されると、本人だけではなく家族全員が1週間隔離される」と話した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面そして、「最近は季節の変わり目なので、風邪の患者が多い。何が普通の風邪で何が豚インフルエンザなのかわからないため、病院でも診断書だけ出して家に隔離させる措置を取っている。人民班で風邪の患者が発生すると住民に知らせて、できるだけ接触させないようにしている」と話した。
北朝鮮当局も新型インフルエンザののために力を注いでいる。
情報筋は「衛生防疫所と洞の事務所で豚インフルエンザと関連した説明会を行っている。人民班別に医師担当制を実施して、毎日風邪の患者をチェックしている」と話した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面また、「各家庭では沸かしたお湯を飲むように、そして朝と晩に塩で歯磨きをするように呼びかけている。また、五味子やお酢をできるだけたくさん食べて、マスクをするようにと説明している」と話した。
特に、市場や学校のように人がたくさん集まる場所が集中防疫地域になっている。
「学校ごとに、防火用水の水を毎日新しく入れ替えて、休み時間に学生たちに手を洗わせている。また、塩水を家から持ってこさせて休み時間に歯磨きをさせている」と伝えた。学校に水道施設がないため、防火水の水で手を洗っているという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面また、北朝鮮では新型インフルエンザをいまだに『豚インフルエンザ』と呼んでいるため、市場で豚肉の販売を禁止するというハプニングも続出しているという。
「政府からの指示はなかったが、取締りをしている保安員が豚インフルエンザだからと豚の販売を禁じた。恵山市場、ウィヨン市場、マサン市場では今も豚肉が売られていない」と伝えた。
北朝鮮当局は特に、新型インフルエンザを拡散させる行為を国に対する反逆行為として定め、国境地域で検閲を強化している。
前出の情報筋は、「国境地域の人民班会議で『中国で豚インフルエンザが流行っているため、旅行者(親戚訪問)や密輸をする人を通じてインフルエンザが流行るおそれがあると言われている。密輸をしてインフルエンザまで持って来る人は国に対する反逆者として処罰する』と話した」と伝えた。現在、親戚訪問のために中国に行って来た人には15日間特別監視がつく。
この情報筋は新型インフルエンザで死亡した人がいるのかという質問に、「最近は風邪をひいた人が多いため、誰が風邪で誰が豚インフルエンザなのかわからない状態だ。病院でも風邪の患者に対して豚インフルエンザという言葉は使わない」と答えた。