北朝鮮住民の多くは、自宅の周辺或いは近所の山に個人耕作地を持っている。当初は深刻な食糧難をしのぐためのものだったが、今では市場でに大量の作物を出荷するほどになり、庶民の食卓を支えている。
ところが、「全国樹林化」と称し、強引な方法で植林事業と進める当局との摩擦が絶えない。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFAの)が報じた。
数年前から進められていた植林事業が、北朝鮮当局が現在進めている大増産運動「200日戦闘」の主要課題として登場した。故金日成氏の提案した「全国段々畑化」に加え、90年代末の大飢饉「苦難の行軍」を生き抜くために作られた個人耕作地により、山はすっかり荒廃化してしまった。
金正恩党委員長の進める植林事業は、それらの弊害を解消するためのものであり、考え方自体は正しいと言えよう。しかし、問題はそのやり方だ。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、会寧(フェリョン)市では個人耕作地への検閲(監査)が行われた。山林経営事業所と農村経営委員会が指示した「林農複合経営」が守られているかをチェックするためだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面これは個人耕作地に一定の割合で苗木を植えさせるというもので、金正日時代に大々的に導入されたが、住民のサボタージュなどで大失敗に終わっている。それを金正恩氏は再び持ちだしたのだ。
違反していた住民数十人が摘発され、思想検討を受けている。当局はまた、違反している耕作地の作物を引っこ抜いて、無理やり苗木を飢えている。
別の情報筋によると、この方式に従うと、苗木の成長を邪魔しない、背の低いジャガイモや大豆しか植えられなくなり、収穫は3分の1に減ってしまった。また、3メートル間隔で苗木を植えると、2年で1メートルの高さになり、5年もすれば林になってしまい、作物を作ることはできなくなってしまう。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面情報筋は「畑を巡る人民対金正恩氏の闘い」だと述べ、住民が様々な方法で抵抗していると伝えた。その一つが、当局が強制的に植えた苗木を抜いておき、当局が検査に来た時だけにまた植えるというものだ。
北朝鮮の食糧難には様々な要因があるが、最も根本にあるのが集団農業だ。共同農場では、一所懸命働いても働かなくても得られる作物の量は同じだ。また、収穫した作物のすべてが国に持ち去られることも少なくない。モチベーションが上がるわけがない。
北朝鮮当局は、家族に畑の管理を任せて収穫の一部を国に収めさせる「圃田担当制」を導入しているが、共同農場の枠組みを維持したままの中途半端な措置である上に、農場の幹部が全体の収穫量を大幅に水増しした数字を報告し、それを元に分配量を決めるため、実際に農民の手元には何も残らないケースも発生している。