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熊胆(クマの胆嚢)は、肝臓病や胆石に効果のある漢方薬として、古来から珍重されてきた。実際、それに含まれるウルソデオキシコール酸が効果があることが科学的に証明されており、人工的に生成されたものが日本の病院でも処方される。

北朝鮮では、熊胆が肝臓病のみならず、男性用の「精力剤」にもなるとの噂が広がり、北朝鮮の幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)の間で人気を博している。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

男性の「精力剤」として

中朝国境地域の事情に精通した脱北者チョンさんによると、北朝鮮で取引される熊胆の多くは中国から輸入されている。

北朝鮮の貿易関係者は、ロシア国境に面した黒竜江省の綏芬河市まで買い付けに行き、一度に数百キロの熊胆を買うこともあるという。ツキノワグマやヒグマの輸出はワシントン条約で規制されているが、中国の税関当局はほとんど規制しないため、いとも簡単に輸出できてしまう。

中国産の熊胆は、非常に高価だが、小さくて持ち運びに便利なため、幹部へのワイロとしてよく使われる。ロシアに派遣された労働者たちも、北朝鮮への帰国に際して、ワイロ用に買い求めているという。

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別の脱北者キムさんによると、北朝鮮には、2000年代初頭までクマ農場が存在したが、森林伐採で森が荒れクマが少なくなり、すべて閉鎖されてしまった。

反発を招いた熊胆の採取

しかし、熊胆と胆液の採取技術において、北朝鮮は非常に進んでいたのだ。

中国国家林業局絶滅危惧種輸出入管理弁公室の龔継恩主任と、モンタナ大学森林保全学部のリチャード・ハリス教授の論文によると、クマを殺さず、胆嚢にカテーテルを挿して胆液を抜き取る技術は、1983年に北朝鮮から中国に伝授されたものだ。

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それ以降、吉林省、黒竜江省、遼寧省などに広まり、数多くのクマ農場ができた。しかし、動物保護の意識が高まるに連れ、熊胆の採取は国内世論の激しい批判にさらされるようになった。

北京愛護動物保護公益基金会の調査によると、中国人の97.4%が熊胆の採取は残酷だと考え、83.9%は取り締まるべきだと考えている。2012年、福建省の帰真堂薬業が株式の上場を行おうとしたが「残酷な方法で熊胆を採取している」との世論の激しい反発を浴びて、断念に追い込まれたことがある。

中国のシンクタンクは政府に対して、現存する68のクマ農場を2035年までにすべて閉鎖することを提言している。また、一部の地方政府は、環境が劣悪なクマ農場に対して閉鎖命令を出している。

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中国から輸入できなくなれば、北朝鮮は国内にクマ牧場を復活させるかもしれないが、もしそうなれば、国際社会からの激しい批判は避けられないだろう。