世界中で大旋風を巻き起こしているゲームアプリ「ポケモンGO」。韓国では未リリースにもかかわらず、北朝鮮に近い民間人統制区域内にもポケモンが出没し、「軍が対応に頭を悩ませている」との話も聞く。

理由は、ゲーム開発会社の地域設定で一帯が北朝鮮に分類されているためと言われているが、ならば北朝鮮ではポケモンGOを楽しむことができるのか?

女子高生らがひどい目に

結論を先に言えば、その可能性はある。北朝鮮国内のどこでも、というわけではないのだが、金日成・正日親子の遺体が安置されている郊外の錦繍山太陽宮殿などには、すでにポケモンが出現しているかもしれないのだ。

もちろん、スマホを北朝鮮に持っていけば誰でもプレイできるというわけではない。まず、インターネットに接続できる環境がなければ、話にならない。

北朝鮮当局は、国民がネットに接続することを原則として禁じている。しかし実は、北朝鮮では長期滞在の外国人向けに、モバイル・インターネット・サービスが提供されている。これを使うことができれば、ひとまず最初の難関はクリアだ。

より問題なのは、当局による統制と監視だ。北朝鮮では日本のように、スマホを片手に行きたいところへフラフラと行くことはできない。前述した錦繍山太陽宮殿などは、スマホの持ち込みが厳禁である。

さらには一部の例外を除き、外国の現代エンタテイメントを楽しむことも処罰の対象になる。最近にも、外国のドラマや映画を見ただけの女子高生や女子大生が、当局により信じられないようなひどい目に遭わされている。

眠れぬ夜の正恩氏

このような諸々の状況を考えると、一般の北朝鮮国民が自国内でポケモンGOを楽しむことは難しい。しかし北朝鮮駐在の大使館員とその家族をはじめ、外国人には可能かもしれない。

しかし何といっても、独裁者である金正恩党委員長ならばやりたい放題だろう。不眠症との情報があり、「深夜の走り屋」とも言われる正恩氏が、夜な夜なポケモン探しに出かけているというのは、ありえない話ではないのだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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