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少年は、北朝鮮の自然科学を支えていく有望株として、当局から期待され、好環境で勉学に励んでいただろう。逆にいえば、それだけ優秀な人材だったゆえに、亡命を選んだということも考えられる。

例えば、北朝鮮ではインターネットは限られた層しかアクセスできないが、そのなかには研究者も含まれる。もしかすると、少年は北朝鮮にいる時から、ひそかにインターネットにアクセスし、亡命のための「リサーチ」をしていたのかもしれない。また、今回の大会に参加した6人中、4人が2年連続の参加だ。昨年から、亡命する決意をして、準備をしてきたということも考えられる。

以上は、あくまでも推測だ。しかし18年前、筆者が中朝国境滞在中に出会ったコチェビ(ストリート・チルドレン)たちは、皆がたった1人で信じられない距離を移動して、時には知恵を絞って、危険を顧みず、北朝鮮を脱出してきた猛者揃いだった。