しかし、いずれの映画もかなり前に作られた作品だ。多くの住民は「莫大なカネと時間を費やして作った映画をなぜ禁止にするのか」「とっくの昔に見た映画ばかり。今ごろになって、なぜ禁止するのか」と、当局の指示を鼻で笑っているという。
さらに、指示が下された後、「韓流ドラマでも見よう」という雰囲気が広がり、何のための指示かわからない状況になっている。2000年以後、北朝鮮では、韓流をはじめとする外国映画が違法DVDやメモリなどのデジタルメディアを通じて拡散した。
北朝鮮国営メディアが放映するプロパガンダ中心の放送コンテンツは、娯楽に飢える北朝鮮住民にとっては退屈極まりなく、韓流ドラマや外国映画を見たがるのは、ごく自然の流れといえる。ただし、北朝鮮で韓流ドラマの視聴は、あくまでも違法行為。多くの住民に拡散しているが、時には命がけの視聴になり、罰としてせい惨な拷問を加えられることもある。
(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは… )拷問どころか、過去には、故金正日総書記に関する最高機密スキャンダル「喜び組」をテーマにした韓流ドラマを流通、販売させた罪で3人の女性が、銃殺刑に処されたことすらある。
(参考記事:銃殺の悲劇も…北朝鮮「喜び組」スキャンダル)しかし、今回、禁止されたのは北朝鮮当局が、プロパガンダとして制作したものだ。