かつて、旧共産圏では大々的に行われていた大増産運動。しかし、成果はほとんどなく、弊害ばかりが目立ったため、1950年代に姿を消している。そのような「天下の大愚策」を未だに行っている世界で唯一の国が、北朝鮮だ。

北朝鮮当局は現在、200日戦闘と称して、今年の年末までに各産業の生産量を無理やり増大させる運動を行っているが、すでに各地で弊害が発生している。

首をつって自殺

両江道(リャンガンド)の金正淑(キムジョンスク)郡では、200日戦闘に伴う勤労動員を苦にした女性が自殺する事件が起きた。

両江道のデイリーNK内部情報筋によると、金正淑郡の長項里(チャンハンリ)で40代女性が首をつって自ら命を断った。

個人耕作地での農作業と、市場での商売で得られるわずかな収入で糊口をしのいできたこの女性。ところが、病気になり、それらもままならなくなった。すると、保衛員(秘密警察)や保安員(警察官)が頻繁にやってきて「なぜ200日戦闘の動員に参加しないのだ」とプレッシャーをかけるようになった。

戦時体制にように生活せよ

たとえ診断書を提出しても、勤労動員は免除されない。唯一の方法は、ワイロをつかませることだが、女性にはその余裕もなかったのだろう。催促のあまりのしつこさに女性は周囲の人々に「こんなザマでは、生きていてもしょうがない」と嘆いていたという。

女性の自殺は、200日戦闘による弊害の氷山の一角だ。わずかばかりの農作物を市場で売ってギリギリの生活をしてきた人々は、度重なる勤労動員で収入が減り、栄養がまともに取れなくなっている。また、商品流通が滞っているため、各地でコメの値段が上昇しつつある。

労働新聞は5日、「200日戦闘の成果で全国的に工業総生産額計画が120%達成された」などと伝えると同時に、さらなる成果を上げることも求めた。

当局は庶民を無理矢理動員

また、当局は、住民を対象にして政治講演会を開き「戦時体制のように生活せよ」「朝鮮戦争直後の復興のときのようにやれ」などと、200日戦闘への参加を煽り立てている。

しかし、度重なる動員と収入の減少で、庶民も幹部もピリピリしており、社会に不満が渦巻いている。抜き打ちの総和(総括)が頻繁に行われ、動員の参加率が低くなると、担当の保衛部員や保安員も責任を問われることになるので、無理やり動員に参加させようとするのだ。

当局が経済発展を目指すのならば、やるべきことは、「住民を強制的に動員する」のではなく、「何もしない」ことだ。

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