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状況はまた「面白く」なって来るのだろうか?

最近訪朝した中国の温家宝首相が、北京の「韓中日3国首脳会議」で李明博大統領に、「韓国と関係改善する意志がある」という金正日の意思を伝えたという。温首相は「金正日委員長に10時間会ったが、北朝鮮はアメリカだけではなく韓国や日本とも関係を改善しようとしている」と述べ、「これが今回の訪朝で受けた最も重要な印象」と語ったそうだ。

報道に基づいて温首相の言葉をまとめてみると、「金正日はアメリカや韓国、日本と両者対話や多者対話を通じて、核心的な懸案を解決して、6カ国協議を通じて北朝鮮の核問題のけりをつけることを国zしている」ということになる。温首相は「この機会を利用してこそ、(北朝鮮の核問題の)進展を成すことができるという事実を、各国が認識して把握してほしい」と言及し、ある北京外交消息筋は、「温首相が訪朝した時に北朝鮮が言及したという6カ国協議は、懸案を直接議論した既存の6カ国協議とは全く違う枠組み」(朝鮮日報 10月14日付)と話した。

李明博大統領は「南北関係を改善する意志がある」という金正日の間接的な提議に対して、「北朝鮮が本当に核を放棄すれば、私たちにはいくらでも開かれた姿勢で話し合う用意がある」と答えたという。

金正日が言及した「南北関係の改善」の内容が何なのか、全く明らかになっていない。また、韓米日と両者対話を通じて、どのような核心懸案をどのように解決するのか、今後6カ国協議が違ったものになるのであれば、何が違うのか等々が霧の中にある。

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金正日は温家宝首相を通じて韓米日に何を伝えたいのだろうか。それよりも今回金正日が温首相に伝えた言葉には、果たして「真正性」があるのだろうか。中国が6カ国協議の議長国として、これまで北朝鮮の核の解決に進展が見られなかったため、議長国の地位を喪失するか心配して、いわゆる「自家発電」するということなのではないだろうか。

そのため、これまで金正日が行ってきた多くの行動パターンを念頭に置いて、今回の「アメリカや韓日との関係改善」という言及について、あらゆる角度から一度推量して見るのも悪くないだろう。

金正日がこの間、韓米両国に要求してきた核心的な懸案事項は、アメリカとは「朝米平和協定の締結」(対北敵視政策の放棄=在韓米軍の撤収=韓米軍事同盟の破棄)であり、2000年以後、韓国とは「6.15、10.4宣言の履行」である。また日本とは「植民地賠賞金交渉(=「朝日国交正常化」)の議論がある。

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金正日にとっては、今後6カ国協議の性格が「北朝鮮の核廃棄会談」とだけ規定されれば、それでなくても国連制裁を受けているのだから、「アジェンダの設定」から不利になる。また、金正日の立場から見たら、「我々はいずれにせよ核保有国」なのに、6カ国協議が「北朝鮮の核廃棄のための会談」と規定されることは現実的に話にならないことである。

そのため金正日はまず、「6カ国協議の性格の規定」を自分にとってもう少し有利な方向に、新しくしたいと思っている。そのようなやり方で、アメリカや韓国、日本との両者会談でさまざまなアジェンダを羅列する戦術に持って行きたいということである。北朝鮮の典型的な本質(核廃棄)ぼかし戦術だが、金正日にとってはこの戦術が成功すれば、韓国や日本からもらい受ける経済支援はかなりの量になり、失敗しても「元金商売」である。しかも、アメリカや日本との両者対話のアジェンダは時間が長くかかるものである。

北朝鮮政権はこれまで、歴代の韓国政府すべてを相手にした経験がある。それぞれの政府に関する蓄積された資料だけでも相当の量だろう。しかし韓国は新しい政府に変わる。そのため韓国の新政府は、常に金正日政権を「初めて」相手にすることになると言える。初めての相手なので、相手をよく知らない状態で接近することが多い。

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新政府は概して、前の政府よりもうまくやってみようと努力する。意欲が強まるのだ。そのため「過剰」になり、望んではいないが結果的に北朝鮮政権の戦術に巻きこまれることになる。6.15宣言や10.4 宣言は、そうした流れと脈絡で展開されてきた。また、執権の後期に向かえば向かうほど、「大統領の業績」が重要になり、そのため北朝鮮との折衷主義、妥協主義に流れるようになる。またこの時から、大韓民国の利益が重要になるのではなく、その政権の大統領の業績が重要になってくる。

こうした点は、その内容に多少の差はあるが、形式的にはアメリカや日本も例外ではない。日本でも歴代の政権が絶えず、北朝鮮を相手に外交で何らかの大きな成果を出すために努力してきたが成功しなかった。クリントン政府もジュネーブ合意で北朝鮮の核放棄に失敗し、ブッシュ政府も土壇場で北朝鮮と「折衷」しようとしたが失敗した。

現在、韓国もアメリカも日本も、一度も金正日政権と本格的な接触をしていないという点で、まだ「新政府」といえる。だが、アメリカや日本と両者対話をするとしても、アジェンダ自体があっというまに1~2年経つようになっていて、いつのまにか「執権後半期」に入ることになる。だがどの政府も、次の選挙の前に何か「目に見えた成果」を出したがる。クリントン、ブッシュ、盧武鉉政府共にそうだった。

もちろん今は、こうした展望に対する異論も多いだろう。韓米日はもう、金正日のそのような手法をすべてよく知っているということだ。核廃棄のプロセスで成果が無ければ、国連制裁は撤回しないだろうという。

だが外交というのは、当たり前だが常に相対的なものである。両者、 多者対話が始まり、「ことば(言)として行う外交戦」を続ける間、「外交戦そのもの」に各国政府とマスメディアの関心が向けられるようになる。そうなったら各国政府とマスメディアは、「成果」に期待をかけながら妥協主義に流れたり、または会談が途切れてつながるというのが繰り返されるようになる。そのうち韓米日は執権後半期に流れていくことになる。

現時点で予想するのは無理があるのは事実だが、今後両者、6者の会談が進む場合、北朝鮮の核問題をめぐる米朝間の「最後の折衷」はどのようなものになるだろうか。

おそらくそれは、非常に悲観的な角度から見通すとしたら、金正日が「北朝鮮は核(兵器、物質)を外に移転しない」と言う程度のものであり、94年のジュネーブ合意に似た、いつでも金正日が簡単に破ってしまうことができる「紙の誓約書」になりかねない。

それでは、そのような悲観的な展望が現実にならないようにするためにも、私たちはどうすればよいだろうか。

まず金正日の「南北関係改善の意志」を信じつつも、金正日の言葉に「主観的な希望事項」を付与せずに、私たちが「正しく検証」することである。それは私たち自らが「南北関係の改善」に関する明確な基準を持つことである。

1つ目に、南北関係の改善が北朝鮮の核廃棄に寄与しているか?

2つ目に、南北関係が北朝鮮の開放を促して、正常な国家に向かわせるためにも一定の目的にかなっているか?

3つ目に、南北交流が北朝鮮の住民の実生活の改善にとって助けになっているか?

4つ目に、南北対話と交流が、拉致被害者や国軍捕虜、離散家族の解決及び、北の住民の人権の改善に寄与しているか?

5つ目に、南北関係が朝鮮半島の平和体制及び平和統一において、進展が見られるものになっているか?

南北関係の改善は、上の5種類に適切に符合しているかどうかということを意味する。この基準に基づき、政府は対北政策の柔軟性は維持しても、事案の本質を曇らせる折衷主義や縫合主義に流れてはいけないだろう。

だが、これよりも重要なことがある。それは非核開放3000と「グランドバーゲン」(一括妥結)を成功させることができる環境と条件を、箔ョ的に作っていくことである。

これからの南北関係は、過去のように「共産党がさらいに来る」といったふうの対北政策では困る。北朝鮮を開放させるための箔ョ的なプランを展開することの方が一層重要ということである。敢えて言葉を作るとしたら、「レッツ・ドゥー・アプローチ」(Let’s Do Approach)とでもしたらよいだろうか。攻勢的な接近の方が重要である。そうした点から、韓国政府が14日の臨津江の水害対策、赤十字会談を攻勢的に注文したことはよかった。

もうしばらく見守る必要があるだろうが、中国の「仲裁」で、北朝鮮の核問題が再び「外交戦」の様相を呈する兆しが見られる。李明博政府の外交安保チームがこれまでしっかりと準備していれば、実力を発揮する時が来たといえるだろう。