しかし、まともに行われたことは一度もなかった。政治講演会で多少触れられても、しばらくすれば反故になる。喫煙習慣は中学生の間でも広がるなど、増えることはあっても、減ることはなかった。
こうしたタバコ文化にもかかわらず、金正恩党委員長は最近「平壌市民は文明的な生活様式に合わせて生きるべき」「タバコの煙で平壌市の環境を汚染させる現象をなくせ」という指示を下したと、平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。
正恩氏の指示に伴い、数日前から、大々的な禁煙キャンペーンと取り締まりが始まった。地下鉄駅、バス停、デパート、遊園地、動物園、さらには歩道にまで配置された保安員(警察官)が、喫煙者から罰金を取り立てるようになった。市内中心部では巡回中のパトカーが、喫煙者に向かって「動画を録画してテレビで公開するぞ」と怒鳴り散らすなど、半ば脅迫に近い禁煙活動を行っている。
こうした禁煙キャンペーンの一環と思われるが、全国の主要都市に「禁煙商店」なるものが登場。効果があるのか、ないのかわからないような「禁煙グッズ」を販売している。
普通のトイレはムリ
しかし是非はともかく、北朝鮮でタバコは、お酒と同様、人間関係を円満に進める潤滑油でもある。