北朝鮮当局は、トロッコの所持、使用を禁じる命令を下した。運送手段を奪われた地域住民からは不満の声が上がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

トロッコとは、鉄道の線路に乗せて主に人力で動かす貨車のこと。フィリピンやカンボジアでは「バンブートレイン」などと呼ばれ、地域住民の輸送および移動手段として重宝されおり、一部では観光資源化している。

そんなトロッコが北朝鮮にも存在するが、両江道(リャンガンド)の情報筋によると、最近鉄道保安部(鉄道警察)は人民班(町内会)を通じて「不法所有しているトロッコを、保安署(警察署)や鉄道機関に提出せよ」との指示を住民に下した。

観光列車と衝突

理由は、事故が多発しているからだという。

慈江道(チャガンド)の情報筋によると、鉄道保安部が出した警告文には、昨年9月から今年5月までの間に、トロッコによる事故が800件以上も発生したと書かれている。

道内の満浦(マンポ)市を走る恵山満浦青年線では昨年秋、十里洞(シムリドン)駅付近で中国人観光客を乗せた列車とトロッコが衝突する事故が発生した。幸い、列車には被害がなかったため運行を続けることができたが、もし観光客が怪我をしていれば、大騒ぎになっていただろう。

今回のトロッコ禁止令について住民たちは「危険なことはわかりきっている」としつつも、「他に運送手段があったらトロッコなんかを使うわけがない」と現実を無視した禁止令を批判している。

協同農場ならともかく、個人耕作地でできた作物や、自宅で使う薪は自力で運ばざるをえない。トラックを借りることができないため、トロッコで運搬するのが一般的だ。また、電力難でほとんど列車が通らないことも、トロッコを使う理由となっている。

住民たちは禁止令に文句を言いつつも「どうせいつものように、時間が経てば命令など反故になる」と、ほとぼりが冷めるのを待っている。

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