あらゆる形で海外情報が北朝鮮に流入することによって、北朝鮮庶民たちも、自分たちの境遇について薄々感づいているからだ。そして、韓国に入国し定着した脱北者たちが、北朝鮮国内へ伝える生の情報が、彼らの思い描く韓国像や海外のイメージを肉付けして、リアリティを与える。筆者は、こうした情報の循環こそが、北朝鮮社会を変化させる鍵を握っていると常日頃から主張している。
米国務次官補トム・マリノフスキー氏(民主主義・人権・労働担当)は、先日行ったデイリーNKと韓国の対北朝鮮ラジオとの単独インタビューのなかで次のように述べた。
「全世界のすべての人々は好奇心を持っている。何かを知りたいということは人間の本能だ。私も北朝鮮での生活について知りたいと思っている。北朝鮮の人々も同じように、米国、韓国、日本、欧州など他の国に住む人々がどのように暮らしているかを知る機会を持つべきであり、知ることができなければならない。」
「北朝鮮の虐殺責任者「必ず突き止める」…米国務次官補インタビュー」より
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。