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北朝鮮の金正恩党委員長は今年3月、平壌市内東部の大規模マンション団地「黎明通り」の建設計画をぶちあげた。当局は早速工事を始めたが、建設資金が足りないため、住民から「募金」の名目で強制徴収している。

現地からは「不動産バブル」の崩壊も伝えられ、建設事業のいっそうの混迷も予想される。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると、大増産キャンペーン「200日戦闘」の開始が宣言されて以来、平壌市内では「黎明通りの建設を物心両面で支援しよう」との宣伝が繰り返されている。

「まるで封建時代」

住民を対象とした政治講演会では「黎明通りは将軍様(金正恩氏)がお国の発展のために科学者に贈られるものだ、首都の市民は先頭に立って忠誠心を捧げなければならない」などと、建設への積極的な参加が呼びかけられている。

その一環として、各地域の洞事務所(末端の行政機関)は、各人民班(町内会)に対して「住民から黎明通り建設に必要な『忠誠の資金』(上納金)を7月までに徴収せよ」との指示を下した。その額は1世帯あたり50ドル(約5280円)。市場でコメが80キロも買える額だ。

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外食で数百ドルを使うような高級幹部、貿易会社の関係者、トンジュ(金主、新興富裕層)にとっては、はした金だ。「カネで忠誠心が買えるならお安いもんだ」と次々に支払っている。

一方、その日暮らしをしている人々にとって50ドルは簡単にねん出できる金額ではない。人民班長から「カネを払えなければ働け」と言われ、商売を休んで泣く泣く現場へ向かい、マンション建設に従事している。市民の間からは「まるで封建時代に戻ったようだ」との声が聞かれるという。

需要無視で値崩れ

また、「人民から絞りとったカネで資材を輸入して、軍人や青年を強制的に動員して建設する黎明通りは『涙の通り』になる」などといった声が聞かれるという。

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金正恩政権は、倉田通り、未来科学者通りなど、平壌市内に相次いでマンション団地の建設を行ってきた。資金は、貿易会社やトンジュの投資頼みだ。しかし、不動産市場のことを全く考慮しない「ハコモノ行政」は、富裕層の間での不動産バブルの崩壊を招いた。

毎日新聞は関係筋の話を引用し、平壌市内のマンション価格が暴落したと報じた。200平米の高層マンションは昨年末の時点で20万ドルにもなっていたが、今年に入り半値以下になってしまった。原因は、需要を無視して建設が続けられたことによる供給過多。また、優先的に供給されていた電気が滞るようになったことも、暴落の一因だ。

不動産バブルの崩壊により、トンジュが不動産への投資を手控えるようになれば、建設資金の不足に拍車がかかり、強制募金の額がますます増える悪循環に陥るだろう。

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実際、情報筋も「募金の強要は今のところ平壌市民だけが対象だが、経済制裁で資金繰りが悪化しつつあるため、対象が全国民に拡大されるのは時間の問題」だと述べている。