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北朝鮮が4月の最高人民会議で11年ぶりに改定した新憲法で、「共産・社会主義」という社会建設目標から「共産主義」を削除して、先軍思想を指導思想として追加した。また、事実上国家の最高指導機関だった国防委員会の権限を更に拡大して、国防委員長のことを「最高領導者」と明示した。

28日に北朝鮮が運営するウェブサイトから入手した北朝鮮の新憲法を見ると、第1章「政治分野」の 第3条「共和国は… 主体思想を自身の活動の指導的指針とする」という内容を、「共和国は… 主体思想、先軍思想を… 指導的指針とする」に変更して、「先軍思想」を主要な思想として含めたことが分かる。

北朝鮮で、90年代半ばの食糧・経済難など「苦難の行軍」の時期に登場した先軍思想は、表現通り軍事を先に立たせて、革命軍隊に基づいて革命と建設を推進するという内容で、かつて労働階級を社会変革の主体として位置づけたのとは異なり、軍隊を国家の根幹にするという意味を含んでいる。

また、第4条の共和国の主権に関する部分では、過去の「労働者・農民・勤労インテリ」に「軍人」を新たに含めて、指導思想として「先軍思想」を明示していた。

北朝鮮がこのように「先軍思想」を指導思想とみなし、「軍人」を労働階級と共に主権勢力に含めたのは、軍を国家の中心勢力として位置づけて、軍の権限を更に強めようとしているためと見られる。

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これは北朝鮮の核開発や、2012年に強盛大国を建設するという目標と無関係ではないとも解釈される。

また、第8条の国家の役割に関する内容は、以前の「勤労人民の利益を擁護しながら保護する」から、「勤労人民の利益を擁護して人権を尊重して保護する」に変わり、「人権尊重」という表現が追加された。

第2章「経済分野」の第 29条、「社会主義、共産主義は… 創造的労働によって建設される」からは共産主義が削除された。これに対して北側関係者が、秋夕離散家族再会の1回目の行事で南側記者団に対し、「共産主義は把握できない」、「社会主義は私が一度、しっかりとやって見る」ということだと明らかにしている。

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改定された憲法の内容のうち一番変化が目立っていた分野は、国防委員長や最高人民会議常任委員会などについて規定している第6章の「国家機香vの部分だ。

国防委員長に関する内容は全て、今回の憲法改定で新設されており、「最高領導者」と表現されていて、任期は最高人民会議と同じ5年と規定されている。また、国防委員長は武力全般の最高司令官になり、国家の一切の武力を指揮、統率すると明示している。

国防委員長の任務と権限は、 ▲国家の全般的な事業の指導 ▲国防委員会の事業の直接指導 ▲国防部門の重要幹部の任命及び解任 ▲他国と結んだ重要な条約の批准または廃棄 ▲特使権の行使 ▲国家の非常事態と戦時状態、動員令の宣布などであると規定されている。

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国防委員会については、以前は「国家主権の最高軍事指導機関であり、全般的な国防管理機関」と規定されていたが、「国家主権の最高国防指導機関」と新たに規定しており、その役割には先軍革命路線を貫徹するための国家の重要な政策の樹立、国防委員会委員長の命令、国防委員会の決定、指示執行の監督と対策の樹立、指示に違う国家機関の決定、指示の廃止などの内容が追加され、国防委員会が強化されたことが分かる。

第4節の最高人民会議常任委員会については、他の国家と結んだ条約の批准及び廃棄という権限はそのまま維持されるが、大使館や特使の権限は大使権だけを行使するようにしている。また、「他の国家の国会、国際的な議会や機関との事業を含めた対外事業を行う」と明示して、対外事業権の内容を新設した。

それ以外にも、第7節の「地方人民委員会」では服従上級機関に、上級人民委員会と内閣から最高人民会議常任委員会まで含めており、第8節「検察所と裁判所」では中央裁判所や都(直轄市)の裁判所、人民裁判所、特別裁判所と書かれていた部分に市(区域)・郡人民裁判所を追加して裁判の権限を拡大させている。

第3章の「文化分野」でも、旧憲法の「共産主義的な新しい人間」などという表現を「主体型の新しい人間」に変えて表現するなど、「共産主義」という表現が削除された。

第4章の「国防分野」では、「革命の首脳部の防衛」という表現や「革命的領軍体系・軍風の確立」、「軍政の配合」などの言葉を追加している。