当局は、万が一中国人住民が危害を加えられる事件が起きれば、中朝の対話ムードに水を差しかねないという危機感を持っているようで、国境地帯は普段以上の緊張感に包まれているようだ。
中国メディアは、3日午前現在、この件を一切報じておらず、中国版Twitter微博にもこの件に関するツイートは見られない。
中朝国境地帯では、脱北兵士による事件が相次いでいる。2014年の年末に、吉林省延辺朝鮮族自治州和龍市で、脱北兵士が食べ物欲しさに朝鮮族の住民4人を殺害する事件が起きている。2015年3月にも同様の事件が起きている。
また、国境地帯にある食堂に北朝鮮軍兵士がやってきて、食べ物や酒、タバコをねだる事態が頻発している。
(関連記事:脱北兵士の物乞いに悩まされる中国の住民たち)高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。