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北朝鮮当局が、自国在住の華僑に対して締め付けを強化していると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

RFAの華僑の情報筋によると、締め付けは今年1月に北朝鮮が行った第4次核実験以後から、強化されはじめた。北朝鮮当局は、華僑に対する通行証の発行を制限しており、北朝鮮から出国できない人が続出している。

中国国籍を持つ在朝華僑のパスポートは平壌の中国大使館が発行する。しかし、居住地の国家安全保衛部(秘密警察)外事課で通行証を発行してもらわなければ、出国できないシステムになっている。さらに、内陸部に住む華僑は国境までの旅行証も別途必要だ。

なぜ北朝鮮当局は、華僑に対する締め付けを強化しているのか。

情報筋によると、国家安全保衛部(秘密警察)は、私事旅行をする北朝鮮国民だけでなく、華僑が国内情報の漏洩、国外情報の流入を行っていると見ているという。

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北朝鮮当局は、今年3月中旬、国連安保理の制裁決議のことを北朝鮮住民に話した容疑で、華僑の商売人を摘発し、中国元2000元(約3万3600円)の罰金刑を言い渡した。

北朝鮮当局の締め付けは、商売だけでなく、プライベートにも及んでいる。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋によると、平城(ピョンソン)市の保衛部は、華僑男性と北朝鮮女性の結婚をやめさせようとしており、「どうしても結婚したいなら北朝鮮国籍を取得しろ」と国際結婚にならないように圧力をかけてくるという。

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同様のケースは、他にもあり、華僑の人々は結婚相手を選ぶ際、苦労するとのことだ。

背景には、北朝鮮国内では「中国が制裁に同調している」という話が広まるにつれ、一般住民や保衛部関係者の間で、露骨な反中感情が高まっていることがある。このような感情は、昨日今日のことではなく、長年にわたって積み重なったものだ。

1982年秋の訪朝の際の体験談を綴った「凍土の共和国」(金元祚著)には、華僑が「大物のヤミ屋、仲介人」をしているという記述がある。

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同書によると、華僑は幹部にワイロをつかませて、自由に商売をしており、政府の役人も社会安全部(現在の人民保安部、警察)の幹部も見て見ぬふりをする。ヤミ屋を見せしめで逮捕する際にも、華僑には事前に情報が流される。彼らは、中国大使館に逃げ込んで身の安全を確保し、万が一捕まった場合でも、大使館から圧力をかけてもらい釈放させるというのだ。

また、新義州(シニジュ)在住のデイリーNK内部情報筋、キム・チャンヨル(仮名)氏によると、華僑は北朝鮮の人々が住むマンションではなく、玄関に大きな「福」の字を掲げた立派な瓦屋根の一軒家に暮らしていて、街で一番の金持ちだという。

このような特権と財産を持つ華僑のことを、北朝鮮の人々は羨みと妬みの混じった視線で見つめてきた。一方の華僑は、逮捕されたり、財産を没収されたりするなど、中朝関係の冷え込みのとばっちりを受け続けている。

華僑を取り巻く環境は、年々厳しくなっているが、それでも彼らが北朝鮮で暮らし続けるのは「儲かる」からだった。ただし、締め付け強化に加え、近年は、権力に近い層が民間人から利権を取り上げる流れが強まっており、以前ほど儲かっていないようだ。

香港の亜洲週刊によると、2万人だった在朝華僑の数は、現在では5400人(丹東市政府関係者)まで減っている。北朝鮮を見限って中国に移住する人が増えており、その数は丹東市だけでも数百人に及ぶ。