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先月末、中朝国境の街で朝鮮族の牧師が殺害される事件が発生し、中国の公安当局は捜査に乗り出した。しかし、なぜか捜査状況を明らかにせず、地域には不安心理が広がり、経済に悪影響が出ている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

事件が起きたのは4月30日。中国吉林省長白朝鮮族自治県の鴨緑江のほとりにある長白教会の牧師ハン・チュンニョルさんが、近所の山林で遺体となって発見された。

ハン牧師は、以前から脱北者支援活動を行ってきたことから、地元では北朝鮮の国家安全保衛部(秘密警察)の犯行ではないかという見方が支配的だ。

教会の信者は、善意を持って脱北者の世話をしてきた人を、北朝鮮は悪意を持って殺害したと厳しく非難した。

中国当局は、鴨緑江対岸の北朝鮮の恵山(ヘサン)市や国境の動向を探るために、数十台の監視カメラを設置している。映像にはハン牧師を殺害した犯人の姿が写っているはずだが、地元の長白県公安局は中朝関係に配慮してか、捜査状況を公にしていない。

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情報がないため、教会関係者や北朝鮮との貿易に携わっている商人たちは不安に駆られ、事業を縮小しようとしている。

両江道の内部情報筋によると、恵山百貨店にテナントとして入店していた中国商人たちが、事件後に店を閉める動きを見せている。それに対して、両江道保安局(警察庁)は、百貨店の従業員を動員し、中国商人たちが閉店した店から商品を持ち出せないように邪魔させているという。

また、恵山税関を行き交う中国商人の数も半分以下に激減し、長白と恵山の地域経済に深刻な影響を与えている。税関や貿易機関の幹部は「こうなったのは保衛部のせいだ」と非難しているという。