90年代に大学に通った平壌市民のパクさんによると、かつては学生たちも、農村支援を「辛いけど、イベントや出会いもあってそれなりに楽しい」ものと考えていた。しかし、北朝鮮の新人類と言えるチャンマダン(市場)世代と呼ばれる若者たちの考えは違うようだ。
(参考記事:金正恩センスの制服「ダサ過ぎ、人間の価値下げる」と北朝鮮の高校生)北朝鮮屈指の穀倉地帯である黄海北道の大学生は、山間部の谷山(コクサン)郡と延山(ヨンサン)郡などの協同農場に支援に向かっているが、彼らの口から「ついに農民になっちゃったね」「また『田植え戦闘』かよ。本当の戦場よりしんどいんじゃないの?」「毎日、戦闘ばかりで、勉強はいつしろっていうのか」など不平不満が噴出している。
学生たちの不平不満も当然だろう。相次ぐ農村支援、勤労動員で勉強や研究の時間が大幅に削られているからだ。金正恩党委員長は「大学は国の未来を担う民族幹部の養成基地」とし、設備や教育の質の向上、実習などで技術人材の育成について強調しているが、現実は正反対の状況となっているわけだ。
こうしたなか、北朝鮮の新興富裕層である「トンジュ(金主)」や金銭的に余裕がある家庭の学生は、教授に100ドル(約1万1000円)のワイロを渡して、農村支援を免除してもらう。