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北朝鮮当局は、全国の協同農場に対して、例年より10日も早く種まきをするように指示を下した。これは、気候の違う北部山岳地帯に対しても適用される。この指示を巡って、論争が起きている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、現地では例年なら、ジャガイモやトウモロコシの種まきを5月25日頃に行う。これは、6月初めに降りる「遅霜」の影響を受けないようにするためのものだ。5月末に植えると、芽が出るのはちょうど遅霜の心配がなくなる頃という訳だ。

農民の長年の経験から得られたものだが、中央はそれを完全に無視した指示を出した。いくらバカげていても従わない訳には行かないため、農場員たちは協同農場で種まきを始めた。しかし、自宅で消費したり、市場に売りに出す作物を作る個人耕作地では、作物が遅霜にやられることを恐れて、種まきはしていないという。

一方、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、中央から指示された種まきの時期を巡り、協同農場のベテランと若手の間で論争が起きているという。

経験豊富なベテランは「種まきには適期というものがある」と主張し、若手は「最近は高温現象が続いているので、種まきを早めても問題はない」と主張し、喧々囂々の論争を繰り広げている。

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実際、朝鮮中央テレビの天気予報によると、5月19日の開城の最高気温は30.6度を記録し、5月の最高気温記録を更新している。20日の最高気温も各地で30度を超えるとの予報が出ている。一方、両江道の三池淵の予想最低気温は2度で、遅霜の目安とされる3度を下回っている。

中央の指示は、全く根拠を欠いたものではない。種まきを早めて、遅霜の被害さえ受けなければ、さらなる収穫が期待できる。しかし、遅霜の被害に遭えば、壊滅的な被害を被りかねない。北朝鮮の農村は、「ハイリスク・ハイリターン」に耐えられるほどの余裕はない。

いずれにせよ、標高1386メートルのところにあり、5月の平均気温が8.1度の両江道三池淵郡と、平地にあり、平均気温が16.9度に達する平壌と同じ時期に種まきをせよという指示を出したことは、中央がいかに現場を見ていないかを示す証拠と言えよう。